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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
42/60

42話 討伐依頼

いくら無知といえど、複雑なものと簡素化された物

の違いくらいは分かるらしい。

メノウも一応は身分ある立場の人間だったのだ。


だからこそ、色々な魔道具を見てきた事だろう。

特に、国が管理する錬金術師達の塔には、何十人も

の優秀な錬金術師達が集められていたのだ。


師匠のいる塔にはハルカと師匠しか居なかったが、

もう一つの赤の塔には数多くの錬金術師が居るの

だと聞いた事があったからだ。


「おい、そんな初心者用の魔道具を売るのか?」

「初心者用じゃないですよ。これは……」


複雑なものではないが、簡素化されているだけで

実際はかなり難しいものだった。


見た目簡単に見えるが同じものを魔術回路に刻も

うとしても、回路自体を理解しなければ作動しな

いように細工しておいたからだった。


「これをオークション会場を経営している人に売

 り込むんです。勿論、設計図付きで」

「それだと、損しねーか?設計図があれば錬金術

 師さえいれば簡単に作れんだろ?」

「それは錬金術を知らない人の考えですよ。これ

 はある程度知識のある錬金術師なら、理解して

 手を出そうとは思わないと思いますよ?まして

 や、分解して同じものを作ろうとなど思わない

 と思います」


ハルカは意地悪い笑みを浮かべると数個、同じ物

を仕上げたのだった。


「そういえばメノウさんは討伐依頼は受けないの

 ですか?」

「受けてーけど……一人じゃ受けれねーんだよ」

「なるほど。では明日は一緒に行きましょうか?

 ただ、僕は戦えないので、そのつもりでお願い

 します」

「あ?前にボアを倒しただろ?」

「それは緊急だったので……魔道具頼りの戦いは

 あまりしたくないので」


そういうと、簡易結界の魔道具と雷針を取り出す

と綺麗に磨き始めたのだった。


「それはなんだ?」

「これは雷針です。あらかじめ地面に刺した置く

 と、その範囲に入った獲物に雷魔法が落ちると

 いうものです。ただし、範囲に味方が入っても

 止める事はできないので、上手くおびき寄せる

 必要があるものです」

「それって、自分の周りに囲んで、真ん中で結界

 張るつもりじゃ……」


メノウの言葉にハルカはニッコリと笑った。

勿論、そうしますが?

と言わんばかりだった。



朝から冒険者ギルドへと向かうと、オークション

会場での仕事の終わり報告した。


予想以上の入金額に驚いたが、それを受け取ると

ポケットの中に押し込んだ。


「重くねーか?」

「大丈夫です。全く重さはないので…」


自分で作った魔道具をポケットにして使っている

ので、それがマジックバックと同じ効果がある事

は話していない。


マジックバックは背中に背負っている物だけだと

言っておいたからだ。


騙すなら、まずは味方から。

いつ裏切るか分からない人間を信じて全部話すつ

もりはなかった。


帰ってこない師匠との約束通り、まずはお金が貯

まったらペリドット王国へ向かおう。


錬金術師が身分を上げるには、その国に行くのが

一番だからだった。


師匠も、いつかは行きたいと言っていた。

最近、巷ではオスタリア公国のイーサとファルマン

公国のロザリア嬢が婚約を発表したと噂で聞いた。


「イーサさんは無事だったんですね」

「あぁ……そうだな……」

「国に戻りたいですか?」

「いや、どーせ戻っても俺の居場所はねーだろうな」

「………」


それもそうだろう。

いくら未遂といえど、自分の専属メイドがやらかした

失態なのだ。

死んでも償えるものではない。


ましてや、メイドは見知らぬ覆面の男が毒を飲ませて

殺害したのだ。

それを見ていたメノウも。ハルカも見つかれば口封じ

か、もしくは犯人に仕立て上げられて死刑がいいとこ

ろだろう。


そんなの冗談じゃない。

メノウだけならいいが、ハルカまで巻き込まれるの

は困る。


メノウも今は捕まるわけにもいかない。


「本当にやってないんですよね?」

「毒を盛ったってか?そんな事する訳ねーだろ?

 一応俺はあいつと兄弟なんだぞ?」

「ですよね……まぁ、ならいいです」


まずは、金策からやる必要があった。

船はとにかく高い。


どれだけ金があってもすぐに無くなるだろう。


船室も雑魚寝から個室まで様々だった。

雑魚寝は寝ているうちに何をされるかわからない

ので危険だと師匠に聞いた事がある。


なので船室で数日寝泊まる事の出来る分の金貨が

必要なのだった。


そう考えるとメノウは足手纏いだった。


金貨を二人分稼ぐのはなかなかに骨が折れるからだ。


「まぁ、今日からは討伐依頼に切り替えましょうか」

「いいのか?なら、これなんかどうだ?」

「これは………少し難しくないですか?そもそも、僕

 はメノウさんがどれほどの腕なのか知りませんし?」

「俺は強いぞ?」

「………強いと自慢する人ほど対して役に立たない場

 合いもありますから…」


ハルカはじと目でメノウを振り返ると、依頼書と見比

べると、そっと返したのだった。

その横にある依頼を取るとメノウへと渡した。


「まずはこれにしましょう。数に応じて金額も上がる

 そうですよ」


そう言って渡したのはどこにでもいるゴブリン退治だ

った。


さっきメノウが選んだのはポイズンリザードの討伐だ

った。

水属性で川の上流に生息している事が多いらしい。

群れで動くので、一匹見つけたら周りを注意深く観察

しないと囲まれて大変な目に遭うという。


水系の為、水中での動きは俊敏で陸地でも時速40キロ

の速さで走れるという。


名前の通り毒液を口から飛ばすのと、噛みつかれると

毒が回り解毒薬でも回復までは時間がかかるらしい。


「メノウさんって魔法は火属性でしたよね?」

「あぁ、それがどうした?」

「ポイズンリザードをどうやって倒すつもりだったの

 かと聞いても?」

「あぁ、奴らは硬い鱗で覆われてるからな!だからま

 ずは、陸地に誘き出してから、魔法で焼き尽くせば

 いいだろ?」

「………」


なんとも言いにくいのだが、あまりに杜撰過ぎる作戦

だった。


「もし、火力不足だったら?」

「それはねーよ?俺の炎はすげーんだぞ?」


自信満々でいうメノウを見て不安でしかなかった。

やっぱりゴブリンでいいかもしれないと、改めて思っ

たのだった。






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