41話 魔術回路
違法者の検挙に貢献したとしてオークション会場
の責任者であるレステルは領主様から直々に呼び
出しがあったらしい。
そこにハルカも連れて行こうとしたのだが、ハル
カは断固拒否したのだった。
もし、他国の事とはいえ、犯罪者扱いされている
者を表彰したとあれば、その場で捕まって引き渡
される恐れがあるからだった。
地方領主といえど、身分は貴族だ。
得となれば、何をするかわかったものではなかっ
た。
それに、師匠のように国に管理されるような生き
方はしたくなかったのだった。
「丁重にお断りします。それに、僕もそろそろギ
ルドで別の依頼を受けなければならないんです」
「そうだったな。わかった。また頼む」
「はい。機会があれば……」
そう言って、数日に渡る依頼を完了したのだった。
依頼料金はかなりのものだった。
ハルカの腕を見込んで先行投資でもする気だった
のだろうか?
それでも、魔道具を譲る気はなかった。
オスタリア公国でもハルカの作った魔道具は日の
目を見る事はなかった。
全部が予算に合わない性能だと言って倉庫にしま
われてしまったのだ。
みんなの生活を豊かにする為、冒険者の安全を守
る為、工夫して作った魔道具達は、世間に知られ
る事なく隠蔽されていったのだ。
きっとここでも一部の人間にしか渡らない。
そう思うと、誰にも渡す気には慣れなかった。
本当はギルドを通して設計図を渡して、作って貰
うという手もあるかと思ったが、いくら同じ錬金
術師に聞いても、作るのは不可能だと言われてし
まったのだった。
ハルカはいつも師匠と話し合って、普通に出来る
範囲で魔道具を作ってきたつもりだった。
だがそれは、一般的な基準は遥かに低いらしい事
を知る事になった。
部屋に帰ってきてからも、一般的の範囲内で作れ
る魔道具を考えていたのだった。
「ただいま〜って、なんかその回路簡素過ぎねー
か?前にお前が作った奴、すげー細かい回路だ
っただろう?」
メノウが帰ってきて一番に聞いてきたのが、ハルカ
の手元にある魔術回路だった。
今、手に持っているのは本当に初期の初期。
初心者が習っていいくくらいの簡単なものだ。
前にメノウに見せた魔道具につかわれている魔術回
路は複雑で、誰が見ても理解すらできないものだっ
たのだ。
もちろん、メノウには全く理解できていないかった。
だが、今のシンプルなものとは格段に違うという事
だけは理解できたのだった。




