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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
30/58

30話 アネスタ王国 (9)

下水の仕事は体力がいる。

それと、臭いがどうしてもついてしまう。


臭い、汚い、辛いの一番嫌がられる3点が揃って

いる仕事だった。


もちろん、お金は悪くないのだが丸一日使ってま

で、そんな場所で汗を流して働くのは嫌だと思う

冒険者は多かった。


要はやる人がいないのだ。


「なんでそんな依頼を俺がやるんだよ?」

「メノウさん、やったらいいじゃないですか?

 どうせ薬草採取しても買い取り金額が下がる

 のなら、いっそ金額のいい仕事を取るのもい 

 いと思いますよ?」

「おい、ハルカはいいよな〜、警備って言って

 もただ会場を彷徨くだけだろ?」


メノウはブツクサと文句を言うが、何を言って

も変わる事はないのだった。


ハルカは依頼を受けると、早速出かけたのだった。

そこは普通のオークション会場だった。


大きなホールの中央には結界が張られた出品物を

置くテーブルが置いてある。


会場の出品物は後ろにあるスクリーンで大きく写

しだし、遠くても何が出されたのかが見えるよう

になっているようだった。


もし、高価な物でも結界があるので力ずくで奪う

ような事もできない仕様になっていたのだ。


「ギルドから来ました。冒険者のハルカです」

「あぁ、ギルドで真面目な子がいると聞いていた 

 けど……結構若いですね?」

「若いとダメでしたか?」

「いえいえ。そんな事はないですよ。一応警備の

 仕事ですからね。気をつけて欲しいというくら

 いですよ………はははっ……」


警備と名が付くだけあって、やる事は単純だった。


入場の時に怪しい者がいたら取り押さえる事。

会場の警備中に関係者以外立ち入り禁止の場所に

入ろうとした人がいた場合、取り押さえる事。

オークションが始まったら、会場へ誰一人入れな

い事。


これが主な仕事内容だった。


「なるほどです。了解しました。」

「あぁ、それと……確認なのですが……」

「はい」

「腕試しをしても?」

「腕試しですか?それはどのようにですか?」


ハルカは武器などは使えない。

剣は重くて振り回せないし、短剣も人よりも

上手く扱える自信はないのだった。


「こちらにどうぞ」


そう言われた向かった先には、ハルカ以外にも

ギルドから雇われてきたという人達だった。


「この中で、役割りを決めたいと思います。一番

 強い人を入口警備に、次を巡回に、そして最後

 は出口の警備に回ってもらいます」

「あの〜だったら僕が出口の警備でもいいですか」


一瞬、全員の視線がハルカへと向いた。


確かに体格からも一番弱いと思われたのだろう。

だからと言って、そう簡単に決めれるわけではな

かったらしい。


「いえ、それは勝負をして決めていただきたい」

「そう……ですか。ですが、先に申し上げますが

 僕は戦えません。ですから戦闘は出来ないと

 先に言っておきます」

「おいおい、やる前から負け宣言かよ?」

「だらしねーな〜。それでも冒険者か?」


笑われたって仕方がない。

魔法攻撃もできなければ、剣も持てないのだから。


「それでは、お願いします」


監視係の従業員が声を上げると、ハルカは薬品を

二つ取り出すと目の前で混ぜ合わせた。


真っ白な視界にそれぞれが戸惑う中、ハルカは

監視員の腕を掴むとタオルを口に握らせたのだっ

た。


そして視界が戻った時には、さっきの軽口を叩い

ていた冒険者達は床に転がっていたのだった。


「これは……」

「少し眠ってもらったんです。僕は錬金術師なので」

「なるほど、それは素晴らしい」


戦わずして、勝った。

それを、いま目の前で見せて証明したのだった。







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