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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
3/4

3話 錬金術師の役割

メノウの目の前にはまだ年若い少年が立っている。

これには、わけがあった。


兄のイーサが赤の錬金術師の力を借りて功績を立

て、この国を継ぐのを阻止する為に、メノウは青

の錬金術塔へと来たのだ。


ここはかつての有名人であるこの国を発展させて

きた錬金術師のジジイがいるはずだった。


あまりに偏屈な人物だった為、他の錬金術師達は

彼の元を去り、弟子さえも居なくなったと言うほ

どに厄介な性格をしているという。


ただ、知識や腕は確かで彼に勝る者は居ないとさ

れていた。


耄碌しているかもと思っていたが、まさか若返っ

ているとは考えてもいなかったのだった。


「ま……まさかジジイなのか?」

「あの?貴方は誰ですか?師匠なら…一年前に亡

 くなりましたけど?」

「師匠?って事は…お前はあのジジイの弟子か?」

「弟子かと言われると違います。僕は師匠に拾わ

 れてここに住んでいるんです」


その青年は珍しく黒い髪に黒い目をしていた。

まるで吸い込まれるほどの真っ黒なのだ。


この世界では黒い髪や目は珍しく、茶色がかった

色が多いのだ。

明るい色の髪や目の色は種族によって異なる。


「お前は錬金術は使えるのか?」


メノウはその若い青年に質問を投げかけたのだっ

た。

もし使えなければここに置いておく理由がないか

らだった。


いくらボロくても、国管理する塔なのだ。

ただで住まわせる理由はない。


「一応……あの〜お前って言い方やめてもらえ

 ます?僕にだって名前はあるんです」

「ほぅ〜、ならお前の事をなんて呼べばいいん

 だ?」

「その前に自分が名乗るのが筋じゃありません?」


少年はメノウを前に一歩も引かなかった。

あのジジイが育てただけはあり、頑固そうだった。


メノウもこんなところで意地をはるつもりはない。

早くジジイの公認の弟子を連れて帰り社会貢献させ

て自分の名声を上げなければならないからだ。


「俺はメノウ。アウグスト・メノウ。マーロ公爵の

 息子で第一継承権を持つ者だ!お前は?」

「僕は、綾瀬遙……アヤセハルカ…ハルカでいいよ」

「二度言わなくても聞こえている!」

「呆けていたから聞こえてないのかと……」

「お前はあのジジイの弟子でいいんだな?」

「違いますけど?」

「はぁ?」


メノウは早速本題に入ろうとしたが、すぐに否定

されてしまった。


「なんでだよ?ここに住んでるんだろ?」

「はい、ここには師匠が連れて来てくれて一緒に

 住んでしましたが、弟子になったつもりはない 

 です。ただ、名前が長かったので、師匠と呼ん

 でいただけです」

「なんだよっ!紛らわしい」


メノウは苛立たしげに側にあった椅子を蹴る。


「だったら、ここの責任者を連れて来い」

「居ないですね。だって…ここは師匠と二人で住 

 んでいたので……昔は知りませんが、僕が来た

 時には師匠一人でしたよ?」

「くぅ〜〜〜、なんなんだよっ、マジで!」


メノウが苛立たしげに遙の胸ぐらを掴むと力任せに

壁へと押し付けた。


「おい、お前錬金術師なんだろ?」

「本当に無礼な人ですね……師匠の言っていた通り

 みたいですね。離してください…さもないと…」

「なんだよ?その細い腕で俺を殴るって?」

「そうですね〜、『腕が燃えてますよ?』」

「はぁ?………」


一瞬、遙の言葉にメノウは『ぷっ』っと吹き出して

いた。


「やれるものならやってみ………うわぁっ!」


一瞬、何が起きたのか理解できなかった。

さっき言われた事が、実際に目の前で起きていたの

だ。


何もないところから火が出て腕に広がっていく。

熱さも感じる。


「おいっ、何しやがった!早く消せ!」


バタバタと腕を振り回すが一向に火は消えなかった。

遙は冷静に見ているだけで何もしようとはしなかっ

た。


「おい、いい加減にしろっ!こんな事しておいて無事

 でいられると思うなよっ!」

「無事でいられるなって、それって脅し文句ですか?

 怪我一つしてないのに?」

「ふざけるな!この火傷が見えないのか?」


怒りを露わにしながら腕を見せる。

だが、どこにも火傷の跡などなかった。


むしろさっきまで燃えていた火冴えないし、服も焼

けた跡さえなかった。


「はぁ?なんで………さっきまで……」


呆然とするメノウに、遙は大きなため息を吐き出し

た。


「ただの幻覚ですよ。こんなの初歩の初歩でしょ?」


錬金術師は魔術師と違って魔法を使うわけではない。

攻撃に特化した魔法を使うのは魔術師。

そして錬金術師は、人々の生活をより良くする為の

魔道具や、薬品などを調合する者を言う。


錬金鍋という特殊な鍋に材料を入れて魔力を込める

だけという、一見簡単そうに見えるが、これが難し

い。


手当たり次第に魔力を込めても意味がなく。

難しい微調整が必要なのだ。


良く、治療院で使われている薬も錬金術師達が作っ

て納品しているのだった。









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