29話 アネスタ王国 (8)
一旦は、このアネスタ王国で暫く滞在する事にな
ると言うと、メノウは以外そうにしていた。
「早く金貯めて船に乗るんじゃねーのか?」
「それも考えたのですが…今はやめておきましょう。
もし、僕が追う側なら検問以外にも船にも監視を
置くと思うんです。船の上では逃げ場がない分、
不利なのでほとぼりが冷めるまではこの国に滞在
しておいた方がいいと思います。それにお金が多
くあっても困らないので。」
ハルカは当然ように言う。
ハルカだけなら、もっと稼ぐ方法もあるのだが、メ
ノウが一緒だよ目立ってしまって、一般的な稼ぎ方
になってしまうのだった。
正当な稼ぎ方が悪いと言うわけではないが、一気に
稼ぐ方法があるのにそれができないのは効率的に、
すごく悪いのだった。
それでも、メノウに付き合うようにギルドでの依頼
を一つずつこなして行く事にしたのだった。
昨日のボア狩りの依頼を受けた冒険者がギルドに来
ていた。
今日は昨日よりも豪華な装備をして挑むらしい。
見ていて、少しばかり笑いそうになった。
「おい、あれって昨日ボア狩り失敗した奴らじゃ…」
「黙ってください」
メノウの言葉に被せるように話しかけると牽制した。
が、その冒険者達にはメノウの言葉がきこえていた
らしく、凄い顔で睨まれてしまった。
もし、彼らの逃したボアを討ち取ったと分かったら
きっとややこしい事になっていただろう事が容易に
想像できたのだった。
「メノウさん。これからは考えて言葉を言って下さ
い。誰も彼もに喧嘩を売っていては、どこにも馴
染めませんよ?」
「別に本当の事だろ?だから俺らが…」
「今、僕が言った事聞いてました?ねぇ?分かって
ます?脳みそあります?」
「うっ……そこまで言うか?俺のが年上だぞ?」
「なら、もっと慎重に言葉を選んでください。争い
は苦手なんです」
「………あぁ」
ギルドで揉め事を起こせば評価にも関わってくる。
依頼を受ける時にも、上位の依頼にはどうしてもギ
ルドでの態度も関係あると師匠が前に教えてくれた
のだった。
問題も起こさず、職員にも好感度が高いといい依頼
を回してくれるのだと言う。
順調に薬草採取依頼をこなしていくと、ある日ギル
ド職員から声をかけられたのだった。
「ハルカさんは、最近ずっと採取依頼で高品質の
納品が多いので、今度はこう言った依頼はいか
がでしょう?」
ギルド職員が手に持っていたのは、オークション
会場の警備だった。
「それは……僕にでも出来る事ですか?」
「えぇ、ただ巡回をするだけです」
お金も結構な額だった。
「お、いいじゃん。受けようぜ」
「すいません。これはハルカさんへおすすめして
いるものですから。メノウさんにはこちらはい
かがですか?」
そう言ってメノウに渡してきたのは下水で詰まっ
てしまった泥を掻き出す仕事だった。




