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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
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28話 アネスタ王国 (7)

師匠の名声はどんどん上がっていった。

確かに凄い人だったのだけれど、ハルカと出会って

からは、誰も考えつかないような事を開発するよう

になった。


毒の検知器もその一つだった。


腐った物、有毒を含む物、微量でも半径1m以内に

あると反応してしまうようなものを開発したのだ

った。


だが、あまりに精密に作った為にわずかな毒素に

も反応してしまい、食べても害ないが人によって

は腹をくだすくらいのものにまで反応をしてしま

っていた。


結局は国の秘蔵となって宝物庫へと仕舞われる事

となった。


冒険者が休む為の安全地帯を作る魔道具を開発し

た時も、あまりに性能が良くて、使い勝手がいい

ように思えたのだが、作る時のコストがあまりに

非現実的な鉱物を使っていたせいと、魔道回路が

複雑すぎて、ハルカと師匠以外には理解できず、

これも宝物庫行きとなった。


このように、結構な数の魔道具が国の宝物庫へと

仕舞われるだけになってしまった。


そして、このエリクサーも本当は発表するつもり

だったのだが、師匠が急遽止められた物だった。


『ハルカ、よーく聞け。これは世の中に出しては

 ならん物だ。ここまで出来が良すぎるものはあ

 ってはならんのじゃよ。分かるな?お前は賢い

 から分かるな?』


そう言って一個はしまって、一個はハルカのマジ

ックバックへとしまったのだった。


師匠の言っている事はすぐに理解できた。

あまりに優秀な者は、国に搾取され尽くして自由

を失うのだ。


それは今の師匠のように……。


有名になってしまったせいで他国へと行く事が困

難になってしまったといっていた。


いつか、退職して一緒に旅に出ようと約束したと

言うのに……。


帰って来なくなった師匠を一年も待ったのだ。

結局は、お尋ね者となって国を出る事になってし

まったが、遅かれ早かれ出る予定だったので問題

は何もなかった。


師匠に挨拶もできなかったのは心残りだったが、

もし師匠が生きていたら、きっとペリドット王国

へと向かうと思う。


一緒にいた時にも、何度も話に出ていた国だった

からだ。


「おい、このあとどーすんだ?」

「それはご自分で決めればいいのでは?僕はペリ

 ドット王国を目指しますが、メノウさんはどこ

 にでも行けるんですから」

「それは………こんな知らない場所で一人は……

 ちょっとな……」

「それを言うなら僕とも知らない人同士でしょ?」

「ちがっ……違わないけど……」


数日前に会ったばかりなのだ。

ハルカからはメノウの事は知ってはいたが、話た

のは最近だった。


師匠の話では何度も聞かされたバカな後継者とし

て理解はしていたのだった。







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