24話 アネスタ王国 (3)
日が沈む前には宿を探しておきたい。
そう考えていたので、薬草採取はある程度取れたら
引き上げる事となった。
「おい、まだ終わらないのか?」
「もうちょっと……」
ハルカの取っている薬草は依頼分とは別のものだっ
た。
メノウは依頼分を取り終えたからか、おもむろに自
分のが早かったと自慢したいらしい。
速さならもちろんハルカの方が早く依頼を達成して
いたが、せっかくここまできたのだからと、他の薬
草も取って鞄に入れているのだった。
いくらでも入るマジックバッグは本当に便利だ。
登録した本人以外には取り出せないせいか、見た目
も普通のバッグなのだ。
だが、実際にはより多くの荷物が入るし、重さも感
じない。
そして何よりいいのは汚れないという点だった。
魔法がかかっているせいで、鞄自体に重力魔法が
刻印されているのだ。
そのおかげで、襲われた時も鞄を盾にする事も出
来るのだった。
本当に便利なものだ。
小楯ほどの大きさに作ったおかげで薬草もサクサク
入るし、取り出す時も不自然にならない。
一応鞄入る限界の量の依頼を受けるからだった。
「おーい、まだか?」
「もう少し……よし、これくらいでいいかな」
「もうちょっと奥にも行ってみるか?」
メノウはまだボアの討伐を諦めて居ない様子だった。
冒険者は依頼を受けて居なくても、偶然出会って倒
した場合も早い者が依頼達成となる事がある。
依頼書は別の冒険者に取られてしまったが、まだ諦
めて居ない様子だった。
「ボアは諦めて帰りますよ。無駄な戦闘は諦めて…」
「ん?なんか騒がしくないか?」
地面が揺れると、森の奥が騒がしくなってきていた。
何人かの叫ぶ声に耳を澄ませるとハルカはカンテラ
を取り出した。
「おい、何やってるんだよ?」
カンテラとは携帯用の冒険者が夜に狩りをする時に
用いるあかりの代わりに使うものだ。
まだ明るい時に使うものではない。
「お前、こんな時に……」
「黙ってて……」
ハルカはメノウと共に草むらに隠れるとカンテラを
翳した。
カンテラの明かりは初めて暖色をして居たが、下の
つまみを回すと黄色く変わる。
その中では向けた方の先にある映像が映し出された
のだった。
「なんだよこれ……魔道具か?」
「黙ってて……向こうで戦っているみたいだ…」
「なら俺たちも混ざるか?」
「ダメだ。冒険者は獲物を横取りされるのを一番嫌
うと聞いた事がある。もし、倒したとしても取り
分は期待できないが、それでもいいのか?」
「それは嫌だな……」
「なら、黙ってて見ておくのがいい」
ハルカはこう言う機会によく出くわして居た。
師匠と一緒にいた時にも何度か出くわしたのだった。
ほとんどは師匠が片付けてしまったが、ハルカとて
何もできないお子様なわけではない。
その為に魔道具はしっかり作ってきたのだ。
様子を見る限り、戦っているのは冒険者パーティー
4人とボア一匹というところだろう。
下のゲージからして距離はかなり近い。
カンテラの向いている方向で戦っていると言う事だ。




