16話 逃亡 (4)
城の地下牢では、メノウとその共犯者が脱獄を図った
としてアウグスト・マーロ公爵はすぐに城内部の捜索
を命じたのだった。
兵士達には街の方にも捜索命令をだした。
国とギルドは別の機関な為、冒険者に頼む事はでき
ない。
「まだ見つからんのか?」
「はっ……メノウ様の馬もそのままになっていた事
から、まだ城の中にいる可能性もあるかと……、
内部に匿っている者が居ないか調べさせております」
「イーサの様子はどうだ?」
「それは………主治医の話では、毒の種類は判明した
とのことでしたので。解毒薬を作るまでそれほどか
からないかと…」
「そうか……。まさか兄弟でこのようなおぞましい事
が起きるとは……。残念だ。メノウはもう息子では
ない。見つけ次第始末しなさい」
「はっ…!共犯者の方はどういたしますか?」
「共に始末しなさい」
「では、そのように……」
マーロ公爵の右腕とも言われる騎士は国の中では一番
の剣の腕を誇っていた。
そんな時、数刻前に北の門を通った冒険者と貴族がい
たと連絡が入った。
貴族位は公爵。
アウグスト公爵家のカードを見せたと言うのである。
「それは本当なのか?いつの事だ?」
「それが…一刻ほど前だと言うのです。冒険者はフー
ドをかぶっていたそうですが、まだ幼い子供だった
と……それを追うようにメノウ様……いえ、メノウ
と思われる男が門を通ったと…」
「そうか。なら馬で行けばまだ追いつくな……行くぞ!
行き先はナニス王国!国を出る前に捕縛する!」
騎士団長は、メノウをはじめ連行した男だった。
あの時に、一緒にいた青年は珍しい黒い髪をした青年
だった。
服は白衣を着ていた事から錬金術師なのだろう。
あの偏屈な青の塔の老人の知り合いだろうか?
どちらにしても、生死を問わないというので捕まえる
のが難しいなら殺してしまえというのだった。
♦︎♦︎♦︎
メノウを引き連れて、急遽行き先を変えたのだった。
北の門をわざわざ出たというのに、真反対の南へと向
かうことにしたのだった。
南というと、オスタリアの下、アネスタ王国がある。
そこから船で海を伝いファルマン公国へと向かい、そ
のまま北へ向かって、目的のペリドット王国へと向か
う事にしたのだった。
「なんで、ナニスに行かないんだよ?」
「どうして、そんなに愚かなんですか?」
「なんだとぉ?」
「僕らは北の門を出て、実際北のナニス王国へ向かう
つもりでした。ですが、誰かさんが貴族証を見せて
しまったので、今ナニス王国の国境にはオスタリア
の兵士が待ち構えているでしょうね…それに第一婦
人の母国ですからね。マークされててもおかしくな
いです」
「………」
「理解できました?」
「あぁ……」
まったく厄介な連れがついて来てしまった。
ハルカ一人なら、なんとでもなるが、もしこのままメ
ノウがついて来るとなると、何かにつけて目立ってし
まうからだった。




