表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒の錬金術師  作者: 秋元智也
15/57

15話 逃亡 (3)

まずは服と食料が必須になるだろう。

これから逃亡生活をするとなると、そう易々と買い

物など出来ないと考えるべきだろう。


そうとなれば、テントや簡単な生活品も必要になる

だろう。


ハルカは錬金塔から持ち出した薬品以外にも多くの

物を持ってきていた。


部屋2部屋分くらいの広さが今、ポケットに収納さ

れている。


「すいませーん、これ全部買います」

「お、そんなに買って持っていけるかい?」

「はい、大丈夫です」


店の人に笑い返すと、おまけと言われ野菜や果物

も付けてくれた。


ただ、芋を箱買いしただけなのだが……。

木箱ごと3箱買った。

そのおかげで別の野菜も貰えた。


実にありがたい。

それから、下着や顔を隠す用マントやローブ、普

段に着る服などを買い足した。


そもそも、ハルカの着ていた服はどれも錬金術師達

が好んで着ていた白衣に近い白いローブの用なもの

だった。


特殊なせいで目立って仕方がないのだ。


店で着替えると地味なフード付きのローブを着た。

これで顔を隠せる。


この世界に来てから、師匠と色々な場所へと行った

が、ハルカと同じ黒目、黒髪の人間は見かけなかっ

たのだった。

珍しいのだろうか?


いつも周りからじろじろと見られるので、凄く居心

地が悪かったのだった。


「おい、まだ買うのか?」

「どうしてまだいるんです?もう城から出たんです

 から、自分の行きたい場所へ行ったらどうです?」


ハルカは錬金術で稼いだお金を使って日常品も一緒

に買った。


六年もの間、ずっと作り溜めた魔道具も全部持って

来たので、生活には困らないだろう。


「メノウさん、僕はこれで……。あとはご自分でな

 んとかしてください。これ以上巻き込まれるのは

 迷惑なので」

「おい、お前だってこのままじゃお尋ね者だぞ?そ 

 れでもいいのかよ?」

「別に構わないですよ?だって、今から国を出れば

 問題ないじゃないですか?」


言われてみれば、その通りだった。

そもそもハルカは錬金術師達の街でもあるペリドット

王国へ行ってみたかった。

ファルマン公国を通って向かうか、それともナニス

王国を通るか……。


どちらにしても長い旅になりそうだ。

ペリドット王国では錬金術師が優遇される国の為

錬金術師達にとっては憧れの国でもあった。


他の国では馬車馬のようにポーションの作成ばか

りを造らされるのにくらべ、彼の国では好きな用

に実験し放題なのだ。


国の試験にさえ受かれば、一生研究に打ち込める

ほどの補助が受けられるらしいのだ。


「まさか一人で行くんじゃねーよな?」

「一人で行きますよ?どうして貴方を連れて行く

 と思ったんですか?」


兄殺しなど、重罪にも程がある。

それがもし、はめられた事だとしても……。


結局は無実だという証拠を見つけなければ、見つ

かり次第死刑にだってなりかねない。


牢から抜け出してしまったのだから、刑も重くな

っている事だろう。


だからといって、あのまま牢にいたら確実にハル

カは死んでいたことだろう。


結果的に、こんな異世界でのルールなど護る必要

など全くないのだ。


買い物を終えると、スタスタと歩き出す。


「おい、どこ行くんだよ」

「どこでもいいでしょう?もう、城から出た所ま

 でで、十分僕は役に立ったでしょう?」

「俺だって、外に出るのに、貢献しただろ?だから

 犯人探しを手伝えよ?」


全く、騎士の一人にすら信用もない人間のどの口が

言うのだろう。


「腕の印を消したのは僕ですが?」

「あぁ、アレか……」

「アレは、牢から出ると力が抜けて動けなくなる刻

 印でした。それを消したのだから、これ以上の貢

 献はないんじゃないですか?」

「それは……お前の得意分野だろ?」


少しもじもじとしながら、ハルカを見てきた。

こんなところで騒ぎたくはない。


まだ城下町であって、いつ兵士が来てもおかしくは

ないのだ。


「僕を巻き込んだ責任はどう取ってくれるんです 

 か?」

「それは……お前だって、あのジジイの弟子なん

 だから、助けるのが当然だろ?」

「はぁ〜……どこまで頭が悪いんですか?もう、い

 いです。」


そういうと、ハルカは走り出した。


まずは門出て、平原まで行きたい。

夕方になる前に門を出れれば、問題ない。


夕刻になると、中央の時計台から鐘が鳴って、3つ

鳴ると、門は閉められ朝になるまで出ることはでき

なくなってしまうからだ。


いまなら、ギルド証があるのでそれを見せれば簡単

に出れるはずだった。


「すいません、ギルドの依頼で平原に行ってきます」

「おぉ、まだ小さいのに偉いな。だが、もうすぐ陽

 が沈むから明日にした方がいいぞ?」

「いえ、薬草の依頼なので、早く納品してあげたい

 のです」

「なんとも偉いなぁ〜。気をつけて行けよ!」


門番の兵士はハルカの頭をポンポンと撫でるとすん

なり出してくれた。


その後で、メノウが追いついてきたが、無視し続け

た。


まだ、お尋ね者として手配書は出ていないのか、メ

ノウも普通に通過できたようだった。


北の門を出たばかりで、ハルカの後を付いてくるメ

ノウを睨みつけた。


「どこまで付いてくるんですか?それに…身分証は

 どうしたんですか?」

「身分証?そんなもん、これで十分だろ?」


メノウが出したのは、貴族の証である冒険者証と

似ているカードだった。


「まさか、これを見せたんですか?」

「あぁ……。なんだよ?」

「………バカですか?こんなもの見せたら……」

「………?」


貴族証など、持って出たら絶対に追っ手に捕まる。

しかも歩きで逃げている相手に馬で追われたら、あ

っと言う間に追いつかれるだろう。


ハルカは大きなため息を漏らすと、行き先を真逆へ

と変えたのだった。


「おい、ナニス王国に行くんじゃないのか?」

「行きませんよ。行ったら絶対に追いつかれるじゃ 

 ないですか!もう、黙っててください」


急遽、身を隠す為にアネスタ王国へと向かう事に

したのだった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ