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怪しいもの

日は登っているはずなのに薄暗い。木々が多く足元の悪い中、リオは姉の梨花を探すために研究施設が近くだと言われる森周辺を探している。彼は慌ただしく歩き回りながら、必死に梨花の名前を呼び続けていた。


「はぁ…はぁ…おーい!りーーかーーー」


リオの声は森の中に響き渡り、風に消えていく。しかし、それだけでは何も返事は返ってこない。彼は焦りを感じながらも、決して諦めることはなかった。梨花はいつも自分を守ってくれた最愛の姉だからだ。


研究施設が森の奥にあると聞いたリオは、その方向へと進んでいく。木々が茂みを作り太陽の光を遮るため、周囲は薄暗く、足元は根っこや岩でゴツゴツしていた。それでもリオは立ち止まることなく進んでいく。梨花を見つけることが彼にとっての唯一の目的であり、そのためならばどんな困難も乗り越えられると信じていた。


時おり、小鳥のさえずりや虫の音が聞こえる。しかし、その静けさがますます不安を増すばかりだった。リオは梨花の安否を案じながら、一歩一歩を進んでいった。


すると、突然、足元の地面が崩れてしまい、リオは思わず転倒して滑り落ちてしまった。痛みを堪え立ち上がると目の前には洞窟のような暗い場所が広がっていた。リオはそこに梨花がいる可能性を感じ、恐れと期待が入り混じった気持ちに駆られた。


「梨花ーーどこなんだよ」


痛みを堪え、リオは声を張り上げるが、その声はただ空しく広がっていくばかりだった。彼は決意を新たにし、暗闇の奥深くへと進んでいく。


数時間が過ぎ去り、リオはとうとう疲れ果ててしまった。右足の動きが悪い。さっき滑り落ちた時にでも挫いたのだろう。しかし、彼の心には諦めることなどなかった。梨花がどこかで待っているという確信が彼を支えていた。


そして、ついにリオの目の前には見た事もない作りの建物が姿を現した。しかし、建物の周りには警備員が立ちはだかり、入り口は厳重に封鎖されていた。


「ここが…研究施設…なの…か?」


恐らくここが研究施設なのだろうとリオは感じ取った。なぜなら今まで村では見かける事のない建物だからだ。

しかしどうしたものか梨花はこの建物が怪しいと見て入って行ったかもしれない。

しかし…


1.この村から出てはいけない

2.この村の大人達が行く施設に子供は入ってはいけない

3.これらの掟破りは祟られる


「この建物は最後に見よう」

そう思いレオは他の所を探す事にした。


『あんたって本当にビビリ』


以前そう梨花に言われた事を思い出した。

俺は決してビビリではないと今更ながらムキになってしまった。

リオは意を決して建物に入ろうとしたその時。


「誰だお前!ぐはっ」


警備をしている2人のうち1人が赤い血液を流して倒れた。もう1人の警備もそれに気付き警戒するがあっさりとやられてしまった。大人の男2人をこうもアッサリと倒したのはスラリと細長い手足と黒い髪を頭のてっぺんで一つに結んだ女だった。

一瞬、梨花と思うほどシルエットがそっくりなその女は顔に付いた血液を拭うとリオへ近づいて来る。

そして、彼女がリオに語りかける。


「そこのお前、村の奴だろ。早く帰れ。」


彼女の言葉にリオは驚くと同時に疑問が湧き上がった。これから何が待ち受けているのか。梨花は何処にいるのか。果たしてリオは姉の梨花を見つけることができるのか。そしてこの女は誰なのか頭が回らなくなってしまっていた。

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