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第一章  日常の中の違和感

### 第1章 - 日常の中の違和感


リオの村は、緑に囲まれた平和な場所だ。彼は毎日、友人たちと一緒に狩りや畑仕事を手伝い、村の美しい自然と共に過ごしていた。

「もう本当に!ここはとっても田舎すぎるのよね!嫌になっちゃうわ」

泥だらけの畑に腰をかけながら梨花(りか)は言う

2025年の現代には珍しく電気も、水道も通っていない超ど田舎だ。

その為全て自給自足の村人、寧ろこんな村に人口100人もいる事が不思議なのだ。

「俺はこんな村でもいいと思うけどねー。都会がどんな所かは知らないけどさ。比べようがないじゃん」

そう、この村にはいくつかの掟があるのだ。


1.この村から出てはいけない

2.この村の大人達が行く施設に子供は入ってはいけない

3.これらの掟破りは祟られる


というものだった。

いつからこんな掟があるのかは分からないが物心ついた頃からこれが普通だった為俺は何の違和感も持たずに生活をしていた。今日までは。

「ねえ。リオは大人達が行ってる施設気にならない?私たちばっかり畑仕事させてどうせ施設の中で遊んでるんでしょ。」

「俺はどうせ大人になったら分かるんだし。母さんも父さんも疲れて帰ってきてるんだから仕事してると思うけどな」

そう言うと梨花は不満そうな顔をする。

「あんたって本当にビビリ」

梨花は立ち上がり足を強く鳴らしながら自分たちの家に戻っていく。

梨花と俺は姉弟だがあまり似ていないと周りによく言われている。

梨花は弟の俺が言うのもおかしいが顔が整っており気の強い美人で物事を何でもハッキリさせたがる性格の持ち主だ。

対して俺は顔は自己評価が難しいが普通だと思う。性格もいたって普通。付け加えるとめんどくさがりだ。

梨花が畑仕事をやめたせいで俺も畑仕事が面倒になったから家に戻る事にした。


家は立派なものではなく隙間風が通る家だ。

明るいうちに夕食を取り、暗くなる頃にお母さんと親父が帰ってきた。

「すまん。リオ起きてたのか。」

とても申し訳なさそうに言う親父。

「くせーぞ。親父。早く水浴びして寝ろよ。」

「お前は相変わらず優しいな。そういえば梨花はどこにいるんだ?」

そう言われれば夕食を取った後梨花がいない。

「知らね」

いつもの事だ。梨花は頭に血が昇ると家出をする癖がある。

さっきの会話でヘソを曲げたのだろう。

もう15歳になるのにいい加減大人になってほしいものだ。

「母さん。ちょっと梨花探してくるから」

と言って親父は家を出て行った。

これもいつもの事だった。

俺は布団を敷き、寝床についた。


その夜俺の心の奥には、何かが足りないという感情があった。たまに夢に出てくる、かすかな記憶。その記憶は、知らない家族の笑顔や、見たことのない光景、そして異なる言葉だった。


翌朝、陽射しが爽やかな光を差し込む中、リオはいつも通り目を覚ました。しかし、何か違う。心の中で囁く感覚があった。普段の村の日常が、昨日までとは少し違って感じられたのだ。畑仕事をする準備をしながらも、リオは自室の窓から外を眺め、どこか遠くへ行きたくなる衝動に駆られていた。


「リオ、何をぼんやりしてるの?」と母が声をかける。


「いや、別に…何も。」リオは答えつつも、心の奥底に潜む疑念が膨らんでいくのを感じていた。


食事を終えると、リオはぼんやりと畑仕事を始めた。朝露に濡れた葉や、鼻をくすぐる土の匂いは心地よいが、彼の体は無意識に拒絶しているようだった。そんな時、突然村の広場で騒ぎが起きた。「みんな、集まれ!」という大人たちの声が響き渡る。


村人たちが興味津々で集まる中、リオも人混みの中に入った。すると、大人たちが言わんとしていることが分かった。大人達の顔には不安と恐れが見え隠れている。


「最近、村の周りで不審者を見かけた。」と村長が言った。「特に、あの施設の近くに…」


リオの頭に疑問符が浮かぶ。不審者?村の掟が守られてきた今、何が変わったのだろう。彼の心に不安が広がる。


その日、リオは梨花のことが気になって仕方なかった。彼女はどこにいるのか、何を考えているのか。自分の不安を打ち消すため、彼は梨花を探しに行く事にした。

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