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幻影の戦野を見下ろして

マンガ大賞のノミネート作品を元に、来年のマンガ大賞に受賞しそうなマンガの元になる小説をChatGPTに書いてもらいました。

 白亜の城壁が幾重にも連なる王都アルテリア。かつては勇者の血筋を誇りとした騎士たちが集い、魔王軍との激戦を繰り広げた都だった。しかし今、その戦場は遥か彼方の荒野で“幻影兵装”と呼ばれるゴーレム同士がぶつかるだけ。人々の暮らす市街地には、血煙も剣戟の音も届かない。


 リュートは高台にある軍司令部の一角から、遠くを見晴らしていた。彼の胸には「勇者の末裔」という称号がある。しかし、それはもう形ばかりのもの。いまは“リモート戦争”の時代だ。実体を持たぬ魔法ゴーレムたちを操り、後方で安全に攻撃を繰り返す——王も貴族も、そして魔族の王すらも、最前線になど赴かない。


「リュートさん。準備はできていますか?」  背後から声をかけてきたのは、魔導研究所の女官・ファーディナだ。彼女は書類の束を脇に抱え、どこか眠たげな表情をしている。夜どころか、最近は昼夜問わず幻影兵装の調整で忙殺されているらしい。


「準備……っていっても、俺は何をすればいい? 今日の“戦闘”も、兵士たちが遠隔でゴーレムを送り出すんだろ?」 「ええ、そうなります。あなたには“勇者の末裔”として、指揮官席で激励の言葉を述べていただきたいとのことです。ほら、今度は魔王側が新型ゴーレムを投入すると言って騒ぎになってますから」 「俺にできるのは激励と、最後に呪文の文句を唱えるだけか。情けない話だな」  リュートは自嘲気味に笑う。既に何度も繰り返される“儀式”だった。勇者の末裔として舞台に立たされ、兵士や民衆に向かって勇ましいフレーズを口にする。そして魔導士たちが調整したゴーレムが荒野へ飛び立ち、いずれボロボロになって戻ってくる——ただそれだけ。


「あなたがいないと、士気が下がるのです。実際、国民の多くは“勇者”という存在を精神的な支えにしている。……私だって、最初は研究に嫌気が差していましたが、あなたの言葉に救われた部分もあるんですよ」  言い終えてファーディナは軽く肩をすくめる。彼女が“幻影兵装”の研究をしながらも、本来の目的が「人々を魔物から守る術を開発すること」であるのは、リュートも知っている。どこか似た境遇だ、と感じていた。


 遠方に目を向けると、すでに荒野の上空には魔力のゆらめきが立ちのぼり、王国側と魔王軍側のゴーレムが形を成していた。押し寄せるゴーレム同士がぶつかり合うと、幻のように砕け散り、そのたびに指揮室の魔導士が新たなゴーレムを送り込む。——誰もそこに“血を流す人間”はいないのに、戦争は続いている。


「ほんとに、これでいいのか……」  リュートの胸中には、言いようのない虚しさが広がった。王国軍の将校は「これが最良の方法だ。兵士を失わずに済む」と胸を張るが、その“失わない兵士”というのは、ただ後方で魔力を注ぐだけの疲れ果てた若者たちだ。彼らの心はすり減り、装置やゴーレムが壊れれば街の財政も逼迫する。何より、魔物の侵攻自体は止まらずに長引くだけ。


 そんな折、鐘が鳴り響いた。司令塔の上で合図を送る兵が叫ぶ。 「敵軍のゴーレム、新型のようです! 大規模な魔力量を確認……これは、今までとは違います!」 「リュートさん、急ぎましょう。舞台に立たねば!」  ファーディナが焦り混じりの声で急かす。王の前で形式的な“勇者の誓い”を捧げねば、ゴーレム部隊の出撃が遅れるという。リュートはわずかに唇を噛み、踵を返すしかなかった。


 ——このままで、いつか魔王と本当に決着がつくのだろうか? そもそも、魔王は“遠隔”でしか姿を見せないという。顔すら知らない相手と何年も争い続けている世界に、勇者の存在意義はあるのだろうか。


 背中に長い剣を背負ったまま、リュートは走り出す。たとえ“形だけ”でも、自分が勇者であることに変わりはない。それが彼の宿命であり、最後の誇りでもあった。

 ただし、遠く胸の奥では——いつか、あの魔王本人に直接会って話してみたいという願いが、微かな灯火のように瞬いている。彼はまだ知らない。それが、この果てしない“幻影の戦野”を終わらせるための、大きな一歩になるかもしれないことを。

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