ふゆこのアキちゃん
お父さんから貰った赤いリボンのテディベアが私のお気に入り
赤いリボンがよく似合うテディベアの目はキラキラと輝いていて、私はお父さんから貰ったこのテディベアのようなぬいぐるみを作れるぬいぐるみ屋さんになりたい
ふゆこはあかがすきです
ふゆのアキちゃん
赤色がとっても似合うアキちゃん
「ねぇアキちゃん、赤色好きだったよね?
これアキちゃんにあげる」
お父さんから貰ったテディベアのリボンをアキちゃんにあげました
かわいいかわいいふゆこの親友のアキちゃん
1人の親友、今日そんなアキちゃんをぬいぐるみにしました。
どうしても盗られたくなくって
アキちゃんはふゆこが居なくても生きていけるけど、ふゆこはアキちゃんがいないとダメなのに
アキちゃんはふゆこを捨てました
アキちゃんは好きな人が出来たそうです
アキちゃんの好きな人はふゆことは全然違って、かわいくってかっこよくってなんでも出来るけど、お裁縫が苦手な人でした
でもふゆはお裁縫が得意だから
アキちゃんが褒めてくれたお裁縫で
アキちゃんはぬいぐるみにすることにしました
アキちゃんをふゆは縫い合わせてテディベアにしてあげて新しくしようと思ってたんです
「ぐにゃぐにゃしてるね、アキちゃん」
ぬってくっつけて切ってぬって
やっぱりアキちゃんはぬいぐるみじゃなくて人間だから縫うのに時間がかかりました
アキちゃんはもうふゆこにいつもみたいにお話してくれませんでした
へんなにおいがするってお母さんがふゆの部屋に来ました
いつもアキちゃんがつけてるシャンプーの金木犀の匂いしかしないのに、変なお母さん
「金木犀の匂いなのにね、アキちゃん」
アキちゃんの金木犀の匂いはなくなって
段々嫌な匂いになってきてしまいました
アキちゃんが薄れていくようで悲しく思いました
「ふゆこ、ふゆこおはよう」
かみさまはやっぱりいるみたいです
アキちゃんが今日はお話をしてくれました
アキちゃんはフランケンシュタインみたいになれたのだと喜んでいました
でも、アキちゃんがいっぱい動けるようになるとまたふゆのことを置いて好きな人のところに行ってしまうのではないかとふゆこは泣いてしまいました
アキちゃんは好きな人の事なんてすっかり忘れてふゆのことをギュッと抱きしめてくれました
「ふゆこったら心配性なんだから、私は何処にも行かないのに、馬鹿な子だね」
あぁ、アキちゃん
大好きです
ふゆこのことをこんなに思ってくれるなんて
アキちゃんしかいない
アキちゃんの出来のいい好きな人なんて居なくなっちゃえばいいのに
ふゆは愚図で不出来だから
アキちゃんが必要なのに、持ってる人なのに
ふゆからアキちゃんまで盗ろうなんて酷い人です
「アキちゃん、アキちゃん何処にも行っちゃダメだからね、ふゆを置いていったら許さないから」
アキちゃんの腕の中で何度も何度も言いました
アキちゃんは呆れたように
「ふゆのこと置いていったことなんて無いのに」
と言いました
アキちゃんはいつも嘘をつきます
前と今じゃ話し方も違います
きっとふゆこの作ったアキちゃんはアキちゃんじゃなくなっちゃったんです
それでもアキちゃんで居てくれるんです
アキちゃんは身体は冷たくても心は暖かい人であることには変わりがないみたいです
ふゆこはそれが嬉しくて嬉しくて
これからもずっとふゆこのアキちゃんでいてほしいです