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 扉を開くと、すでにミミと隣にはスラッと背の高い犬族の青年がこちらへ頭を下げて迎えてくれた。

「紹介します、こちら私の息子でサイアスと申します」

「サイアス・シュヴァルツです。アプリコーゼ様のお相手ができます事、大変光栄です。私のことはどうぞサイアスとお呼びください」

「サイアス様、アプリコーゼ・エーデルシュタインです。それでは私の事はアプリコーゼと」

 挨拶を交わし、早速ダンスレッスンが始まった。私の相手にサイアス様、ミミの相手は当家の見習い執事のブルームが相手をする。


 手拍子のリズムに合わせて覚えたステップを重ねると、いつもより踊りやすさを感じて顔を見上げた。ニコッと微笑む柔らかい表情を見てとても安心する。少し余裕があってか自分から「とても踊りやすいです」と声を掛けると「それは嬉しいですね、ダンスは得意なのでリードを褒めていただけるとテンションが上がります」よく見れば尻尾がフリフリしてる?可愛らしい仕草に思わず微笑んだ。音楽と手拍子が終わり、直すステップや姿勢を繰り返し練習し、あっという間に終わりの時間を迎えた。


「アプリコーゼ様、息子とのレッスンはいかがでしたかな?」

「とっても踊りやすくて、私も少し余裕が持てました!ダンス中に会話が出来るなんて思いませんでした」

「とても良い顔で踊られてましたよ、アプリコーゼ様が大丈夫そうならまたレッスンに連れて参りましょう」

 ミミも楽しいレッスンになったようで、ブルームやユリーとお喋りに花を咲かせていた。

 そこへ扉を開く音とお父様が顔を見せ「エデン先生、ありがとう。今日はお願いがあってね」と部屋に入り、エデン先生とサイアス様をソファーへ案内しお茶の準備がされた。

「実は、来月アプリコーゼの誕生日にパーティーを開こうと思ってね」


 そう!私が人間になって改めて「もうすぐ12歳になるんだよ」ってお兄様に言われたあの日から、あっという間に誕生日を迎えようとしている。でもお誕生日にパーティーなんて聞いてなくてビックリ!

「私の事業の事や、家柄も考えてアプリコーゼに専属の護衛騎士を付けようと思うんだ。侍女はユリーがいてくれるからね、護衛騎士は二名選抜したいんだ。陛下に相談したら騎士団の演習場に見学へ行く提案をもらってね、アプリコーゼを連れて見学に行こうと思う。サイアス君もそこで鍛錬してると聞いていたから先に相談しておこうと思ったんだ」

「確かにアプリコーゼ様の能力や容姿、今後を考えたら護衛騎士は必須かもしれませんね」

「旦那様、それでしたら今週末に鍛錬演習会が開催されますので一緒にご覧になりませんか?腕に自信のある者達が一堂に会しますのでアプリコーゼ様の護衛を見つけるのにちょうど良い機会かもしれません」


 なんだか話を聞いていると、陛下から提案されたとか……私の護衛騎士を決めるとか……っていうか、そもそも

「私なんかの護衛になりたい方なんているのかしら……」

 んっ!思わず心の声が出ちゃって口を塞いだ。

「アプリコーゼ様、当日ビックリしますよ」

「あはは、そんな心配はきっと無用だよ」

 フォローしてくれるけど、人間の女の子はみんな護衛騎士が付くの……?

「そうそう、陛下にも何やら思惑がありそうな感じだったな。……さて、それでは今週末の案内よろしく頼むよ」

「承知しました」

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