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文章が長くなってしまいました。そして少しだけR(過激表現)あります。ご注意ください。
無事、披露宴も終え、今私は浴槽に浸かっている。
それも薔薇の花びらが浮かぶ湯船。身体の隅々まで薔薇の香りが染み込むようで、優雅な気持ちになれる一方、これからの展開に緊張しない訳がない。どう考えても……この気合いの入れ方は、誰がどう見ても初夜の準備なのだ。
「ユリー、このネグリジェはちょっと……」
「何を仰いますか!これ、ロイファー様からの贈り物ですよ?」
「……え!?」
「ふふっ、それだけ心待ちにされているってことですよ、さすがお嬢様!!」
顔がカァと熱くなる。だって、どうみても生地の面積が少ないし……触り心地が良いし、ボタンじゃなくて紐って所が心許ない。
今までの寝室じゃない。今日からは夫婦の寝室で寝起きするんだ。ドキドキ心臓が跳ねる中、案内された扉の前で一呼吸した。
「ふー……、ロイ、私よ」
ノックして、すぐ「どうぞ」と返事があり、そっと扉を開けた。
◇◇◇◇
「どうぞ」なんて言ったけど、本当は何の心の準備もできていない。
とにかく今日のリコも一日中ずっと美しく、可愛く、自分が夫になれる喜びに浸っていた。浸っていたはず……なのに、シャワーを浴びた辺りから不安に駆られた。女性経験もなく、長くをカトレアで過ごした自分には圧倒的に知識というものが足りないのだ。何をすればリコを喜ばせることが出来るのか……もし上手く出来ず傷付けてしまったら……そう思うと、急に自信がなくなった。
ベッドの淵で心臓が飛び出そうなほど緊張していた。
ゆっくり開かれた扉から見えたリコの恥じらう姿が見えた。……あれは……!
俺が贈ったネグリジェ!!あ、脚が……胸元まで……だめだ、なんで俺はこんな自分の欲望を満たすようなデザインを選んでしまったんだ。恥ずかしそうに部屋に入るリコに申し訳なさすら覚えた。
二人して黙ったまま、部屋に変な沈黙が流れてしまった。ダメだ、ここは俺がリードしなくては……
「リ……リコ、おいで?」
「……はい」
並んだベッドサイドがギシっと音を立てる。こうして座ってみると、膝上の脚が露わになりリコが顔を赤くしているのが良くわかる。可愛い……
「着てくれたんだな、その……すまない」
「え?」
「緊張するのは分かっていたが、自分で余計に煽った。緊張しているんだ、リコに格好悪いところを見せそうで」
「ちょっとだけ……ちょっとだけ安心したわ、緊張しているのは私だけかと、」
「リコの身体を第一優先に考える。だから……思ったことは口にすると約束してくれ」
「……キス、して?」
「返事がまだ聞けてな、」
チュッ。リコの両手が俺の顔を包み込んで、唇が重なった。
「約束する……」
その返事を聞いた俺の中の何かがプチっと切れた。
さっきからこの部屋に充満するリコの甘い香りが、俺の脳を痺れさせ緊張が興奮に切り替わった。
息継ぎの仕方もままならないキスが、どんどん深みを増し、口に中がリコでいっぱいになる。
本能が芽を出せば、後は花が咲くだけ。
止まることにないキスと、漏れる吐息、ゆっくりベッドへ倒し込めば脱がしやすい紐を解きリコの身体を露わにした。恥じらいの顔がまた欲望を掻き立てる。
「あっ……なんなとこ、ダメ……」
身体中愛撫して、リコの理性を溶かしていく。どこに触れればリコが感じるのか、どこに触れれば香りが増すのか……自分の身体の変化など二の次で、今まで閉じられてきた誰も触れた事のない場所をマーキングするかのように自分の痕を付けた。
「ここ……触れるよ?」
柔らかな感触と触れた悦びが心を満たしていく。リコの淫らな声も堪らない……これは……癖になりそうだ。よく解してやりたい。自慢じゃないが獣人族は大きい。ましてや相手は獣人じゃない。リコが痛みで終わってしまう可能性もある……でも、それだけは嫌だ。
「痛かった?」
「違うの……身体の奥が変なの、あっ……気持ち良い、ぁあ、ダメっ……!」
初めてとはいえ、秘部に垂れる蜜が俺を誘った。もう、我慢できない……!
「リコ、このまま脚を開いて……ゆっくり慣らすから、うっ……」
「あっ……んぁ」
狭い空間に押し込まれるそれが、一つ目の関門を突破すればリコの目に涙が溜まった。止めるべきなのか、いや、気持ちよすぎて無理だ。リコの様子を片目で見つつ、俺の中に溜まった熱が弾けるのも時間の問題だった。
◇◇◇◇
そっと目を開ければ、スーっと寝息を立てるロイの顔があった。
ズキっと痛む下腹部を愛しく摩った。痛かったのは初めだけ……もう何も考えられないくらい幸せだった。ロイの耐える表情も、愛してるとキスしてくれたのも全部全部愛おしい。
布団を捲れば、昨日愛し合ったままの姿だ。さすがに恥ずかしい……。でもロイの腕がしっかり私を捉えて離さない。
「ん……」
初めて見るロイの寝顔!!
「そんなに見ないでくれ……というか……むり……」
起きてたの?って聞こうと思ったのに、私の胸元に顔を埋めたロイに驚いて「ひゃっ」と声を出してしまった。
「裸のリコが……いけないんだ」
「そんなところで喋らないで、くすぐった、あっ……」
「……したい、無理。リコ……」
結局、この日この部屋から二人が出てくることはなかった。




