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 何があったんだろうと不思議そうに眺める者で溢れた。

 見かねたベフォーアがステージに立ち、マイクを握った。

「皆、突然の事で驚かせてすまなかった。今、ステージにいたマスコット人形の正体は、この国を救ったアプリコーゼ・エーデルシュタイン嬢だ。どうか拍手で迎えてやってほしい、さぁ二人ともステージへ」


 大きな拍手と「団長、ここはやっぱお姫様抱っこだろー」「おい、アレ持ってこようぜ!!」色々なところから叫ぶ声が聞こえる。

 俺はすぐさま落としてしまった花束とリコを抱えて、ステージへ上がった。すかさずステージ横からミミが車椅子を押してくるのが見えて目を疑った。

「まさか無理して歩いていたのか!?」

「少しだけね、でも平気よ……ロイが目に入ったら力が湧いたの。私を奮い立たせてくれたのはロイ、貴方よ」

「リコ……」

 ステージ上で見つめ合い、もう一度ギュッと抱きしめた。


「「「せーのっ!」」」

 パーン、パーン!!

 会場客席から大きな発砲音と共に小花やキラキラ光る紙辺が宙を舞った。広場に集まった者たちがかき集めたクラッカーが至る所から放たれ、より一層の歓声と彩が加えられた。

「綺麗……私、この景色を見られて良かったわ」

「俺もだ。……毎年この景色を一緒に見てほしい、何年経っても盛大な式典にすると誓うから」

「えぇ、この国の方々の幸せを私も願い続けるわ」

 手を振って声援に応えた。



 リコを抱えたままステージから降りて、ベフォーアに一礼した。リコは開口一番、

「ベフォーア様、ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした」

「とんでもない。ステージからその姿が見えた時本当に驚きましたが、とても嬉しかった。無事で良かった……。さて、ロイファー!王子命令だ。今すぐ帰れ!」

「……いいのか?」

「良いも何も、誰がアプリコーゼ嬢を見てやるのだ?他の者に任せて良いのか?」

「…………」

「だから王子命令だと言っただろ?ここは任せておけ。すぐ帰って休んだほうがいい」

「恩にきる」

「アプリコーゼ嬢、まずは体調を整え身体を万全にしてくれ。回復を待って王城に足を運んでもらえれば嬉しい」

「わかりました。必ず伺います」


 そのままリコを馬車に乗せ、すぐさま屋敷に帰った。

 ベッドに降ろし、傍に椅子を準備された俺は目覚めた時の状況を聞いた。夢の中での出来事や、目覚めた後の様子、今の身体の状態。話を聞きながら握られた手は時折優しくギュッと握られ、リコの存在の大きさに改めて気付かされる。

「そうか……目覚めてくれて、本当に良かった。それに顔色も思ったより良い。何か食べたいものは?疲れただろう」

「それなら温かい紅茶が飲みたいな」

「すぐ用意させよう」


 目の前にリコの好きな紅茶とお茶菓子が並べられると、今朝まで意識がなかったとは思えない程軽快に食が進んでいるようだ。この調子なら全快するのも近いだろう。……聞いても良いんだろうか……昔の話を。そこへ窓を叩く音に気付き窓際へ目をやると、ジュニスと共にウサギ達がピョコと顔を出した。

「あっ!おか、」

 リコが、しまったと言わんばかりに口を手で覆った。

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