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 城の裏側からそっと入り込み、所々見張りをする兵がいる。この国の騎士服じゃないから、キルシュ様の部下かもしれない。

「ここからどうするの?」

「マルメラーデに会わないと地下に行けない」

『それなら話しているわよ、彼なら隠し通路を把握してるもの。合図をすればマルメラーデの執務室で待ち合わせするようになってる』

「ならば、ジュニス合図を頼む。急ごう」

 ジュニスが飛び立つのを見送ってから私たちも移動を始めた。見つからないようにマルメラーデ様の執務室に向かう。それにしても酷い有様……。見張り以外の騎士や使用人たちがあちこちで座り込んで何かを呟いてる。聞こえないけど、異様な雰囲気を漂わせて一層空気を重い。

 

 なんとか執務室に潜り込み、少しした所でマルメラーデ様が部屋の隅から現れた。

「マルメラーデ様!ご無事でしたか?」

「あぁ、私は大丈夫だ。ロイファー、アプリコーゼ、巻き込んですまない」

「マルメラーデ、時間がない。地下まで連れて行ってほしいんだが、隠し通路でどこまで行ける?」

「地下通路のある西棟まで行けば大丈夫だろう」


 ジュニスも合流して隠し通路に入った。足元をほんのり照らす光を頼りにマルメラーデ様について進むと色々な所に分岐がある。これを覚えるのに一体どれだけ時間を費やすのか。

「ここだ」

 開かれた出口は、西棟の客間のような部屋だった。普段は締め切られた部屋で、どうやら暖炉から出てきたらしい。部屋から出て少し進めば、地下通路の入り口があると言うマルメラーデ様を先頭に一気に進んだ。普段人の出入りが少ないせいか、ホコリっぽい。

「少し待ってくれ」

 そう言ったマルメラーデ様が徐に階段裏へ回り込み、何やら壁を操作している。


 ズンっ、鈍い音の後に地下への階段が現れた。

 この国って、こんな秘密だらけだったの……?


 ロイに支えられ、マルメラーデ様の持つ灯りだけを頼りに階段を降りていく。しばらく暗く細い通路を進むと、ホール程ある広い空間に辿り着いた。中央には、台座と空中を絶え間なく回る球体だけがあり、他には何も見えない。異様な光に灯された台座のそばまで近寄ると、マルメラーデ様の消え入りそうな声が耳に届いた。


「私のせいだ……」


「マルメラーデ様?」

 シン……と静まり返る空気が居た堪れない。

「私は、自分の意識とは別に何故かここにキルシュを連れて来てしまった。そして、彼女が球体に触れた瞬間の光から……記憶がない。気付いたら君を追いかけるための馬車の中だったんだ。この国の異変は、あの時から始まったんだろう」

 後悔の念に襲われ拳を握るマルメラーデ様に何か言って差し上げたいけど……大丈夫とも言える状況じゃない。

「……この球体はずっと回り続けているのですか?」

「あぁ、その昔厄災に見舞われたこの国を救う聖女が現れ、この球体を使って国全体に加護を降らせたと聞いている」

「そうでしたか……」


 私がティアーズ王国全体を癒したのは、力の暴走だったもの。それを意図的にできるなら……やっぱりこれを使ってカトレアを救うのが賢明だわ。そう思ったらすぐにでも球体に触れて……


 コツコツ、ヒールの音が地下に響きみんなの視線が一箇所に向いた。

「あら、皆様お揃いで」

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