59
馬を走らせ、王城を目指す途中で空から『リコーーーー!』とジュニスが降ってきた。ポフっと私の太ももあたりに着地したジュニスが疲れた様子でスリスリしてくる。
「ジュニス、久しぶり。全然見ないから心配したよ」
「疲れたよ〜!ちなみにマルメラーデは城の最上階にいるよ。ロイファーと向かってるんでしょ?」
「うん、キルシュ様を止めなくちゃ」
「リコは知ってる?王城の地下に眠る巨大な魔具」
「……?地下?知らないよ、地下があることも魔具があることも……」
ベフォーア様とマルメラーデ様のやり取りを聞いてたジュニスが話の内容を知らせてくれた。キルシュ様はそれを使ってカトレア全体に影響を及ぼしている。風を切る馬の背では、表情も見て取れないけど
「その魔具を私が使えれば……リコの力で国民の心を癒せるんじゃないか?」
ロイファーの提案に、私も「はっ」とした。
「……ロイファー、その魔具をリコが使ったらリスクが大きすぎる」
「どういうことだ?」
「リコの癒しの力は絶大よ、たぶんそんな装置があるなら解決は早いかもしれない。……けど、国民みんなの心の穢れをリコが負担することになるの。リコが耐えられるか……正直不安だわ」
あっ、前にジュニスが言ってた。
『この力には副作用もある。精神が乱れた人や動物を癒すと、影響を受けてリコ自身が体調を崩したりすることもあるから』
以前、力が暴走して数日寝込んだことはあったけど、そんな感じなら。
「寝込む程度なら大丈夫よ?」
『リコ、力を使いすぎて疲弊するレベルとは違う。下手をすればリコの心が壊れてしまうかもしれないのよ?』
「それでも、みんなを助けない理由にはならないわ」
手綱を握るロイは何も言わない。でも、ロイならきっと分かってくれる。だって私しか救えないから、危険な戦場に私を連れて来てるんでしょ?どんな結末が待っていようと……ロイが傍にいてくれればそれでいい。




