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ロイの合図で食事が運ばれ席にエスコートされると、今までと少し雰囲気の違うメニューが並ぶ。なんだか特別な日みたいな……?
「今日、正式にリコのご両親から承諾印の入った婚約誓約書が届いた。我が家も準備が整ったから、今日からリコは俺の婚約者だ」
「……!!」
嬉しさで思わず口を押さえた。嬉しくて、嬉しくて……今にも抱き着いてしまいたいのに、美味しそうな料理に阻まれ目線だけをロイに流す。
「うちの両親が気を利かせてくれてね、今日は二人で食事を楽しみなさいと……その、嫌じゃなかったかな?」
「嫌なんてとんでもない!とても嬉しいわ……あとで御礼を伝えなくちゃ!私がロイの婚約者……」
噛み締めるように何度も声に出せば、ロイも照れたように目を覆い「リ、リコ……そろそろ、食事にしよう!」って。
先日の一件を思い出し二人で顔を見合わせて微笑んだ。
特別な日に食べるお料理は、どれも美味しくて……あっという間に終わってしまった。最後の紅茶に手を付けたところで、徐に立ち上がったロイが少し大きめの箱を手に私の席へやってきた。
「これは婚約の記念に俺からの贈り物だ。受け取って欲しい」
ユリーに手伝ってもらって開いた箱には、美しい刺繍が施されたブルーのドレスが目に飛び込んだ。広げてみれば、優しいシフォンが幾重にも重ねられ腰回りに大きなサファイヤブルーのリボンが目を惹く。
「ロイ……とても素敵……」
「これを着て明日の披露目に行かないか?婚約者として、エスコートさせてほしい」
「うん、ロイの色に包まれて行けるなんて……ロイ、大好きっ!」
ドレスを抱きしめた私をロイが抱きしめた。抱きしめられた耳元で「部屋で渡せば良かった……」と、うん…‥私も同じ事考えてた。周りの微笑む視線に照れつつも、私はドレスを手放せず自分で部屋に持って帰った。トルソーに着せて360度堪能する。何度見てもサファイヤブルーのリボンと所々に施された刺繍がペンダントと全く同じ色を放ち、うっとりしてしまう。
もうこれっぽっちも不安はないわ。




