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「落ち着いた?」
しばらく泣いた私は、ユリーの用意してくれた蒸しタオルで目の保養中。前が見えないまま周りの会話だけが入ってくる。
『リコの力をコントロールする師が必要よ?』
「私なら力になれるだろう、もとよりそのつもりでこちらに来たからね」
エデン先生はこの力に詳しいのかしら?
「それにしてもミミもだいぶ強くなったよな。こっちでアプリコーゼ様の護衛に着けばいいのに」
「えっ!なりたい!」
「それならロイファーのいる騎士団に所属して、訓練しながら護衛に就けばいいんじゃないか?ロイファーもそうだっただろ?」
「サイアスお兄様、さすがー!ね、良いでしょ?ロイファー騎士団長!」
「せっかく向こうの騎士団に合格したのに、いいのか?まぁ俺としても、リコの側に女性騎士がいてくれるのは色々有難いが」
「良いも何も、私はリコのために騎士になったのよ?リコがずっとこっちにいるなら、私もこっちの騎士団に入るまでだから」
「そういう事なら話してみよう」
ミミの笑い声が耳に心地良い。こんな日常が毎日続けば良いのに。
「そういえば、いつからロイファー騎士団長も“リコ”って呼ぶようになったの!?」
「ごふっ!」
飲んでたお茶をこぼしながら顔を赤くしたロイファーとタオルの隙間から覗いた私の目線が重なった。……いや、見られても!私まで赤くなっちゃう!
「それに……窓も全開なのが気になっていたんだが」
『そりゃーみんな気づくわよね!』
赤い顔したロイは観念したのか
「……リコは、俺の番いなんだ」
「なんと、めでたい!」
「わ、私のリコが……!……でもそっか、その反応を見てると……すでに思い合ってる者同士みたいね」
コンコン!
「私だ、入るよ」そう言って入ってきたのは、ベフォーア王子だ。カトレアからエデン先生たちが来ることも聞いて挨拶に来たらしい。普通、ベフォーア王子は待つ方だと思うのだけど……?
「エデン先生、よく来てくださいました。お元気でしたか?」
「この通りだ。ベフォーアも元気そうだな、見ない間にすっかり王族風になったものだな」
「まだ、風 でしたか。私もまだまだですね」
……ん?
「お、お二人はお知り合いなのですか?」
「私の師だ。幼き頃から様々な事を教わってきたよ」
「ベフォーア様の先生だったのですか!?」
「ははっ、先生などと大したものではない。今までの人生経験を教えてきただけだよ。それに私の教え子は、ベフォーア王子とアプリコーゼ様だけだ」
「そっ、そんなすごい方に……」
「私が加護持ちでね、力のコントロールをエデン先生から教わったんだ。だからアプリコーゼ嬢も教わると良い」
「ベフォーア様の加護って?」
「私はね、予見の力があるんだよ。先を見通し未来の予想が出来るんだ。ただ、行動一つでいくらでも未来は変わるからね……絶対その通りになるとは限らないが、予め予防や準備をする越した事はないだろう?」




