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「疲れているかい?もし、良ければロイファーも含めて話を聞きたい。我々が力になると誓おう」

「はい、もちろんです」

 案内された部屋はとても広く、留学と保護でここまで豪華に過ごせるの?とポカーンとしてしまった。

「私には勿体無いお部屋だわ……」

「そんな事はない、ここにいるロイファーもだいぶ世話になったようだからね。気にせず過ごしてくれ、君の侍女ももうすぐここに来るよ」

「ありがとうございます。全てをお話ししますわ」

 私とベフォーア殿下が向かい合わせでソファーに座り、ロイファーが徐に部屋の窓を全て開けてから殿下の隣に座った。扉付近にサイアス様とユリーが待機している。


 そうして、誕生パーティーの日から今日までの事をジュニスに聞いた内容も含めて話した。


「……私が知るのは以上です」

「なるほど。ロイファーも何か調べていたんだろ?」

「はい、ジュニスが傷付けられた際に逃げた者がおりましたので何かの企てだと思い調べました。マルメラーデの側近とわかった時点でエーデルシュタイン公爵に伝えておりました。しかしジュニスの行方が掴めず……もっと早く掴めていれば……」

「ジュニス、ロイファーに救いを求めたのは、ここにアプリコーゼ嬢を連れてくるためだね?」

『そうよ、リコの癒しの力はここに来ないとダメだもの。でも、ロイファーがちゃんと伝えるべきことを伝えてないから、私もリコに話してないのよ』

「そ、それは……」


 ……待って。みんなジュニスの声が聞こえるの?


「ねぇ、なんでみんなジュニスの声が聞こえるの?てっきり私だけかと」

「無理もない。カトレアで獣人は少ないからね」

「獣人の方なら聞こえるの?っていうか、そうだよ!!ジュニスがロイファーのところに連れてってってお願いしたから来たのに理由聞いてなかった!」

『ほら、私はいつでも説明できるのよ?』

「……」

「アプリコーゼ嬢、我々獣人の多く住むこの国では、貴方の持つ癒しの力についての文献が多く存在する。それは、癒しの力を持つ者が動物と意思疎通が出来る事に関係するんだ。だから、我々は貴方をここに導いたジュニスが何を言いたいか知っている」

「私も知りたいわ!ロイファー……」


 私をジッと見つめてため息をこぼした後、ロイファーが口を開いた。

「……女神に愛されし癒しの力を使うには……傍に、運命の相手がいないと……いけないのです」


「……ん?運命の相手?……私の力を使うには、私の運命の相手が必要で、ジュニスがここへ私を連れてきた……ということは?」

「アプリコーゼ嬢の運命の相手はロイファーということになるね」


 カーっと身体中が熱くなるのを感じる。

 んなっ!……あれ?ちょっと待って、獣人の方って生涯愛するのは番いだけってエデン先生言ってたよね?一目見て分かるって。まさか、

「まさか、あの演習会……」

「……そうですね、初めて演習会でお会いした日にアプリコーゼ様が俺の番いと気付きました」

「ロイファーが窓を開けたのも、そのせいだね?」

ベフォーア王子がニヤニヤしながら部屋の中を見回した。

「……はい、か……香りが……」


(えっ、私匂うの!?)

 自分の匂いに不安を覚えた私は、思わず自分を嗅いでしまった!自分では臭いって思わないけど……

『あらー、リコ!違う違う、獣人は番いだけが分かる香りがあるのよ。リコの香りはロイファーしか分からないってこと』


(な、なおさら恥ずかしい……)

「ロイファー、そろそろはっきりさせないと振り向いてもらえないよ?」

「さぁ、お邪魔な我々は夕食まで今後の作戦会議と行こうか。ジュニスもおいで、力になってほしい」

『しょうがないわねー、またあとでねリコ』


 私とロイファーを残して、そそくさといなくなった静かな部屋はとても居心地が悪い。

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