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 部屋に戻った私は散々ユリーに叱られた。尤もな内容だし、素直に受け止めて謝った。もう、一人で外出するのは控えると約束し、夕食の準備があるからとユリーが部屋を後にした。ふと、自分の手を見るけどいつもと変わらない。でも確かにあの時、光が傷を包み込んで治した……あれは何だったんだろう。


「あっ!!神的加護!?」

 蘇った記憶は、穴に落ちたあの時のものだ。そういえば全然説明しに来ないじゃない!嘘つき!もし神的加護が何かしら関係してるなら……聞きたい。でも、会う方法が分からない。なにせ呼んだところで来てくれるものでもない気がするし。早く説明してよ!



 と、考えてた夜、夢の中にまさかの神様が登場した。

「呼んだー?久しぶりだねー、人間もなかなか楽しいでしょ?ずっと君のこと見てたよー」

「見てたなら今日の事、説明して」

「そうだね、当事者の君が知らないわけにはいかないもんねー。それにしても一人で森なんてよく行けたね」

「ただ……お母さんに会いたかっただけ……」

「そっか、うん、会えてよかったね。自分の加護が何か知りたいと願ったから会いに来たけど、君の加護は “癒し” だよ。それもとびきりの“女神から愛されし癒しの力”だ」

「貴方、女神だったの!?」

「あははははは!違う!違うけど、人々は君の力を見たらそう呼ぶ。この世界で最初に癒しの力を持った者が女性であった事と、多くの命を救った功績からそう呼ばれるんだよ」

「女神から愛されし癒しの力……。手を近づけたら傷が消えたの」

「癒しの力は、心身の安定や治癒だからね。その力を極めれば、心の穢れも身体の不調も治すことが出来るよ」

「どうして私にこの力を?」

「んー、自分の未来は自分で決めると言った君の言葉を応援したかった……からかな。まずは、コントロールする事から覚えないといけないもんね。お節介かもしれないけど、君の師であるエデンなら教えてくれると思うよ」

「エデン先生?……うん、わかった。聞いてみるね、ありがとう」

「君は君の思う道を進めばいいんだよ。やりたい事たくさん見つかるといいね〜、じゃ、またね〜」


 ふと、夢から覚めて外を見るとまだ薄暗かった。窓を開けて夜風を受けると「お嬢様?」窓の外から小さな声がする。身を乗り出して見渡すと、真下を警備していたロイファーがこちらを見上げていた。


(あっ……こんな時間も警備してくれてるんだ……)


 ジッと見つめてしまったからか、窓に一番近い木を登って私の部屋の方まで来てくれた!

「大丈夫ですか?」

「えっ、あ……目が覚めてしまって。いつも夜中まで警備してくれてるの?」

「もちろんです。私たちの仕事はお嬢様をお守りする事ですから」

「昼間の事も、自宅でも……いつもありがとう。昼間の怪我は平気?」

「お嬢様が治してくださいましたから、どんな敵が来ても守れるくらいには」

 腕を持ち上げてニカっと笑ってくれるその笑顔にドキッとした。笑顔が見れて嬉しいのに、恥ずかしく俯いてしまう。

「朝までまだ時間はありますから、もう少しお休みください」

「わかった。……あ、ねぇ一つだけ聞いてもいい?」


(ずっと気になってた事、今なら聞ける気がする)


「どうぞ」

「護衛選抜の試合の時、どうして苦しそうな顔で私を見てたの?てっきりマルメラーデ様の言う通り、腕試しだけで参加させられて辛かったのかと思ってたから……護衛になったのが、あの時とても意外だったの」

「お嬢様、それは……」

「聞いてはダメだった?」

「いえ、多くの先輩騎士に負けず勝ち進み、お嬢様の護衛をどうしても勝ち取りたかったのです。だから、その……武者震いです!」

「武者震い!!意外な答え。良かった……ただの腕試しじゃなくて」

「えっ?」

「なんでもない!じゃ、寝るね」

「はい、おやすみなさいお嬢様」


 窓を閉めて、カーテンを引くと胸がギュッと締め付けられた。でも心地良い締め付け感と、話しができた事が嬉しくて顔が緩む。おかしいな私。ただお喋りしただけなのに。護衛騎士を決める試合の時も、普段も、今日の森のことだって……。森で守られたあの時、私のそばから離れる事なく野犬から守ってくれたあの横顔が昔の記憶を呼び覚ました。お父さんや私たちを守ってくれたのは……ロイファーだった気がする。あの時見上げた顔がロイファーと重なる。いつか確認することは出来るんだろうか。本人だと分かったらお礼を言えるんだろうか……。

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