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 数日後、馬に乗り二人の騎士様が屋敷に到着した。我が家の護衛が着てる騎士服を身に纏い、お父様の書斎へやってきた。

「本日よりお嬢様の護衛に参りました」

「よろしく頼むよ、アプリコーゼも挨拶なさい」

「はい。どうぞ、よろしくお願いします」

 ニコッと微笑んで二人の顔と名前をしっかり頭に刻み込んだ。

「二人と話があるから、先に部屋に戻りなさい」

「わかりました。お父様、部屋ではなく庭園に行ってきます」


 

 書斎の中では、契約内容の確認や注意事項が説明される。

「それともう一つ、これは口外禁止事項だ。必ず守ると約束してくれ」

「「はっ!」」

「アプリコーゼは、回復した後から毎日外に出ているが、どうやら動物たちからアプリコーゼに寄ってくるようで時折まるで意思が通じてるかのように話しかける。普通なら人を避ける動物が、多く集まる。本人に全く自覚がないようだが、昔から伝えられる “癒しの女神の加護” を持つ特徴と似ている。この国で加護持ちがどのような扱いを受けるか、其方達ならわかるだろう。貴重な存在故、国をも動かすほどだ。この事実が明るみに出れば、王家が黙っているとは思えない……嫁ぐ可能性も出てくるだろう」


「…………!」


「しかし、私はあの子の望む未来を応援したい。仮にマルメラーデ王太子殿下と懇意になるならばそれでいいが、あの子の未来はあの子が決めて受け入れていく事を私は望む。何が言いたいか分かるか?」


「……」

「お嬢様を全力で守る……」

 ロイファーがポツリとこぼした。「そうだ」と公爵が言えば騎士二人は見合って頷いた。

「出来れば片時も離れず見守ってほしいが、距離は見極めてほしい。それと、ロイファーと言ったな?」

「はい!」

「見習いながら見事な腕前だが、第一騎士団と並行しての護衛は体力勝負だ。ミスは許されない。二人で交代に護衛につきつつ鍛錬は怠らず、あの子を全力で守ってやってくれ」

「肝に銘じます」



◇◇◇◇


 加護持ち、私の番いが加護持ちとは……喜ばしい反面、少々、いや、だいぶ困難な道のりになりそうだと悟った。しかも、旦那様やお嬢様にどのタイミングで「自分の番い」だと説明すべきだろうか。本当なら今すぐにでも告げてしまいたい。しかし相手は学園に入る前の少女な上に、マルメラーデと繋がりができてしまった。ここに来る前にマルメラーデに呼び出され、護衛騎士の立場だという事を忘れるなと釘を刺された。告げれば護衛騎士を続ける事が出来なくなるかもしれない。それは何としてでも避けなければならない、私がお嬢様を全力で守ると決めたのだから……。


「それぞれの部屋に案内しよう、支度が整い次第アプリコーゼの所へ向かってくれ」

「承知いたしました」


 通された部屋は、寮の部屋よりも広く窓を覗けば外を歩くお嬢様が見えた。これだけ距離があっても、微かにあの甘い香りが鼻をくすぐる。私を獣人と知る者はこの屋敷にはいない。一人前ではない今はまだ知られてはいけない……と、決意を胸に扉を叩くカリオストと共に庭園へ向かった。


 庭園で座り、周りに動物が次々囲んでいく様子は……なんて美しい光景なんだろう。

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