12 ロイファー①
「ロイファー、明日は演習会だろ?第一騎士団の筆頭見習い騎士として腕の見せ所だな」
「団長!お疲れ様です。明日は見習いながら参加を許可頂き、ありがとうございます」
「ロイファーは王太子も一目置く期待の星だからな!がんばれよ」
「はい!」
団長を見送ったロイファーは一呼吸ついて、王太子殿下の元へ向かった。王太子であるマルメラーデとは、カトレア学園の同級生であり幼い頃から互いを知る仲だ。現に見習い騎士が自分を含めて三名いるが、筆頭としてマルメラーデを護衛する第一騎士団に配属され将来を期待されている。
「お前の悪い癖だな、ロイファー」
王太子執務室に向かっている途中で、目的の王太子マルメラーデが自分を見てそう言った。
「いつも無愛想な顔して歩くな、せっかくの男前が台無しだぞ」
「マルメラーデ……俺は好きで無愛想に振る舞ってるんじゃない、もともとこんな顔だ」
「そんなんじゃ番いに出会っても相手にされないぞ?」
「ゔっ……痛いとこ突くな」
成人の儀を終えたが、同じ会場では出会うことができなかった。でも今は騎士としての道を切り開く目標がある。正直、番いだの何だのとよそ見をするくらいなら鍛錬を積んで誰よりも強くなりたいと思う。
「明日だが、私も演習会に参加する。一緒に向かおうと思うが問題ないか?」
「あぁ大丈夫だ、時間になる前にここへ来れば良いんだろう?それと参加は人型で行こうと思う」
「狼型で出ないのか?周りに見せつける良いチャンスなのに」
「まだ……み、見習いだから目立つのはちょっと……」
「お前の狼型を見たことがあるのは俺と団長くらいだろ?いつかは公にせねばならない事だけは覚えておけよ?」
「わかってる……。じゃ、また明日」
獣人には、人型になれる種族とそうでない種族が存在する。人型になれるのは能力の高い種族だけでその変身は自由自在であり、見た目はほぼ人間だが、体の一部に獣人独特の証が刻まれている。ちなみに最も能力の高いとされる狼族、次いで獅子族、豹族などがいる。能力もさる事ながら容姿に長け令嬢からの人気もかなり高い。一度、笑って談笑しているところを見られてから時折令嬢たちに囲まれ気分を害した。それから無愛想な態度が定着してしまったが、この無愛想なところがまた魅力的だと令嬢達の中では本人に気付かれないところで騒がれている。
狼の姿を公にしない理由は他にもあるが……。
同じ日に成人の儀に参加したサイアスもまだ番いを見つけていないようだし……焦ったところでどうにもならない。令嬢たちに煩く騒がれるなら静かに鍛錬した方がマシだ。集中して鍛錬に励めば一族の名誉にも繋がる。そう自分に言い聞かせて騎士寮に戻った。




