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10 護衛騎士選抜

 そうして迎えた週末、公爵家の馬車に乗り込んだ私は初めてのお城に口がポカン開いてしまった。

「おっきーーーーい!お父様、お城ってとても大きいのね」

 はははっとお父様が笑った。

「今日は騎士団の訓練場へ行くが、今度来る時は色々案内してあげよう。訓練場は王城の裏手にあるんだよ、もうすぐ馬車を降りるから準備しなさい」

 馬車が止まり、お父様の後ろをついて歩く。健康的になったアプリコーゼの美しさたるや、すれ違う皆が振り返りヒソヒソと会話が繰り広げられる。


 カーン、キーン!金属の当たる音が徐々に大きくなり、重厚な門を潜るとそこには大きな男性たちが剣や武器を用いて一対一の訓練中だった。少し離れた所にベンチがありお父様と腰を下ろしてしばらく見学していると、私に気付いたサイアス様が傍へ来てくださった。

「ようこそいらっしゃいました、音が大きくてビックリされたでしょう。無理はせず、時間の許す限りじっくりご覧ください」

「ありがとうございます、サイアス様」

 すごく視線が刺さる!と思ってサイアス様の奥を見ると、騎士の皆様がこっちを見て驚いた表情をしている。そんなに見学が珍しいのかしら?


「お父様、他の子たちも騎士様を選ぶのですか?」

「いいや、限られた者だけだ。公爵家や侯爵家くらいになると選ぶこともあるが……普通は屋敷にいる従者が付くことが多い」

「私は公爵家の娘だから?」

「んー……それもある、が、それだけではない」

「ふ〜ん、どうやって騎士様を選ぶの?」

「リコが選んでも良いし、きっと後で自分から名乗り出てくれる騎士もいるだろう。リコは自分なんかをと言っていたけど、上位貴族の護衛騎士はとても名誉ある職なんだよ。それにリコはとても可愛らしいからね、きっと人気職になるだろう」


 見事に的中したその予想が意外な結末を迎えることになる。


 騎士団の鍛錬演習会が一旦落ち着きそれぞれ休憩や談笑の時間になった所で、サイアス様と一緒に立派な衣装を身に纏った青年が私たちの前に向かってくるのが見えた。お父様が立ち上がりお辞儀をするのを見て、私も真似して頭を下げた。

「これは、殿下。殿下も参加されておいででしたか」

「公爵殿、お久しぶりです。最近はあまり城でお見かけしませんね」

「家業や領地に行くことが多くて……本日は、娘の護衛騎士を選びに参りました」

「父上から聞いています。こちらが……、初めまして私はこの国の第一王子マルメラーデ・カトレアです」


(すごい……王族って初めて見た!)


「お初にお目に掛かります、エーデルシュタイン公爵家長女のアプリコーゼと申します」


「公爵、アプリコーゼ嬢の体調はもう大丈夫なんですか?」

「すっかり元気になりました、自宅ではよく跳んでますよ」

「お、お父様!!」


(跳んで走りたくなっちゃうのよ……)


「それは何よりだ、公爵はどうやって騎士を選ぶんだ?」

「それが、予想以上に集まってしまったようで……」


「「どうか私が!」」

「「いや、俺だ!俺の方が強いだろ!」」


 サイアス様の後方から、屈強な騎士達が言い合いしているのを目の当たりにし驚きのあまりフリーズしてしまった。

「いささか悩んでおりました、何かアイデアが?」

「そうだな、希望者でトーナメント戦でもしようか!強いものだけが勝ち上がるから選びやすいだろう。よし、」

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