あなた
姫と呼ばれる彼女の名前はアヤ。あの荷物の宛名と同じ。やっぱり、この子が送ったんだろう。どうやって?さあ?
俺たちは、たくさんの研究員から白い目でみられながら、旅立った。優越感。
といっても、まずは城下町でショッピング。援助金として5000ゴールドもらってある。RPGの基本は装備だからな。いい武器を――
「ちょっ、見て!この服可愛くないっ!?」
アヤちゃんは俺の手を引っ張りながら、服を指差す。
その服は、白い清楚な感じの半袖のワンピース。
「いや、可愛いけど防具としてはどうかな…」
「いいの!防御力が高くても可愛いくなかったら意味ないでしょ!」
「いや、でもそれじゃ死んじゃうじゃん」
アヤちゃんは不機嫌そうにこっちを見ながら
「ぷーだっ!」
「………」
「ていうか、あなたの服装のほうが可笑しいでしょ」
アヤちゃんは笑いながら、俺の服装を査定するように見てくる。
そういえば、服は現実世界のままか。上は黒のシャツにグレーのパーカー。下は黒のショートパンツに黒のレギンス、白のハイテクスニーカー。
うん、そうなんだ。俺は勘違いお洒落さんなんだ。今、流行りのレギンス男子なんだ。似合ってないんだ。ふふふ
とにかく、俺の服装は女受けが悪い。女っぽい。いや、実は女装好きなんだ。
「そ、そう?向こうの世界じゃ、こういうのが流行りなんだ」
嘘はついてない。似合ってるかは別だけど。
「………そっか。とにかくあなたは着替えたほうがいいよ」
「はい…」