表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

想う気持ちは憎しみへと変わり殺意になる

俺は何度繰り返せば分かるのだろうか…。


いや、本当は気づいていたのだ。


だが、認めたくなかっただけだ。




どれくらいの時がたっただろう。あんなにも暗かった空も明るくなってきた。かすかに朝日が見える。

もうどうでもいいと思った。羞恥心も何も感じない。誰にどう思われようと別に構わない。だったら俺は何でもできるはずだ。逆に言えば、こういう状況にならなければ何もできない。だから、俺は不幸を望むのだ。不幸になった時だけ俺は自由になれる。

そんな高尚とも言える思考巡らせていると、誰かが近づいてくる気配がした。しかし、今の俺にはどうでも良かったので、仰向けで寝たまま視線だけ向けた。

そこには、一人の人間が俺を見下ろしていた。だが…

おかしい。空は明るいはずなのにそいつの顔は暗くぼんやりしている。全身黒ずくめで、まるで影のようだ。

「満たしてあげましょう」そいつは言う。

「意味が分からないな」

どこの誰かは知らないが今の俺にとっては何もかもが腹立たしい。殺すぞ。

「ははは、わかってるくせに。あなたはもう何をしても満たされない。満足できないわ。」

………。

どきりとした。図星だった。

俺は初めてのsexをも逃げ出した。それは、俺が今まで最も望んでいたものだったのに。

何故か怖くなって虚しくなって……仮想空間だというのに。

仮想空間だから何したって夢みたいなものだ。なのに俺にはまだ自由がなかった。勇気がなかった。

「あなたは病気なのです。今すぐに治療をしなければいけません。なあに、治療はすぐに終わりますよ。さすれば、あなたは幸せを享受できるでしょう。」

そいつはニヤリとはにかんだ。

「いいですか?」

俺は救いを求めた。この、何をしてても満たされずなんの感情も沸いてこなくなった俺を――


殺してくれ


そいつは手を伸ばしてこういった。

「悪魔の契約を。」

俺も手を伸ばし握り返す。



「ようこそ。世界の終わりへ。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ