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現実から目を背けている限り真実は見つからないよ
俺は――
目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
俺は、今の状況がイマイチ把握できずにいた。
ゆっくりと記憶を辿る。
そうだ…俺は
アヤとセックスしようとして……
そこで俺は考えることを止めた。
考えたくなかった。だってそうだろう?誰だって自分の無様な姿は思い出したくないはずだ。
吐き気がする。
自分に嫌気がさす。自己嫌悪。自分を責める。なぜ俺はあの時…などと無意味な後悔。
ああ、意味はない。
なぜなら………
隣に目をやる。アヤが服を着たまま、すやすやと寝ている。俺は、そっとベッドを抜け出し、服を着替える。宿屋に用意されたコーヒーを少しだけ飲み、荷物をまとめた。
用意は万全だ。早くここから逃げ出そう。俺は、アヤちゃんが起きないよう、そっとドアを開け部屋を出る。そして、そのまま宿屋を出て走り出す。
行き先かい?知らないなあ。
ただ走りたかっただけだ。
逃げたかっただけだ。
セックスするのが怖くなって逃げ出した自分を殺したかったんだ。