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あおい目線になります
神様のせいで私は転生をした。いちごと同じタイミングで転生させられたというのに私たちは別々な所に行かされてしまったみたいだった。私はアリシア・アクアマリン。アが多いって思うでしょ?それは私も最初に思った。いちごからあーちゃんと呼ばれるのが好きだったからまた再会してもそう呼んでもらえるのかなと思うとそこは嬉しい部分だったりするけれど。
私の家は貴族が住む区間にある。小さい頃から嫁ぐ予定もないのに御妃教育をされて習い事もたくさんやらされた。お金の無駄だとしか思えない。同級生のお茶会にも呼ばれて行ったけれどいくら探してもいちごには出会えなかった。きっといちごは庶民の方にいるんだと思う。はっきりとはまだ分からないけれど一度も会わないという事は貴族ではない可能性の方が高いと思う。一緒に転生したから年齢は同じはずだし、14年もいちごに会えていないだなんて信じられないよ。
いちごがあの日私に告白を一生懸命しようとしてくれてたこと私は知っていたし、そうなるように日々仕向けていたのも私なんだよね。いちごは元々女の子を好きなタイプではなかったから誰かに取られないように必死になっていたんだ。サッカー部のイケメンが私を狙っているといちごは思っていたけど、本当は違うよ。みんな私に言い寄ってくる男はいちごが好きだったんだよ。
いちごは自分に自信がないって言うけれど本当に誰よりも可愛くて純粋な女の子だから汚らわしい男どもに触れさせるなんてありえないってずっと思ってた。汚い心を持っているのは私も同じかもしれないけれど、それほどいちごのことを愛しているし誰よりも幸せに出来る自信がある。
だから一刻も早くこの世界でいちごと再会して2人だけで暮らせる所に行きたいんだ。王子様と婚約させられそうになっているけど結婚する気なんてないよ。いちごが傍に居ないなんてありえないんだから。
「はぁ…いちごどこに居るの」
「いちごならここにありますよ」
「マリア、いつも言ってるでしょ?音なしに入って来ないでよ」
「ちゃんとノックしましたよ。返事しなかったのはお嬢様です」
「考え事していたのよ」
「また例の分からない子の話ですか」
「分からなくないわよ。私の大切な子なんだから!」
「本当に居るんですか?お嬢様の妄想じゃなくて?」
「貴女、クビにするわよ?」
「すいません。言いすぎました」
「ちゃんといるはずよ。ここに飛ばした神様がそう言ったんだから」
私のお世話係である侍女・マリアには私が前世の記憶を持っていることを話していた。誰にも話せなかったけど聞いてもらえる存在が居るのは嬉しかった。最初は信じていないようだったけどだんだん理解してくれたみたいだった。転生するということは珍しい話ではないそうだった。過去にも転生者がこの世界に居て文献を残したそう。大体が事故死、病死など亡くなってから飛ばされる形だった。
「お嬢様、そういえばそろそろ王子が会いに来るそうですよ」
「え?あいつが?」
「そういう顔をしてはいけません。」
「だって好きじゃないから」
「仮にも婚約者ですよ?」
「私はあいつとは絶対結婚しないわよ。何としてもいちごを見つけ出して駆け落ちするんだから」
「まだ諦めてなかったんですか?」
「諦めるわけないでしょ。あの子が私の生きがいなの」
「お嬢様」
「今度お忍びで街へ行くわよ。きっとそこにいちごがいるはずだわ。」
「旦那様たち許してくれますかね?」
「馬鹿ね、勝手に行くに決まってるじゃない。パパが外に出してくれるとは思えないもの」
「お嬢様って意外と行動力ありますよね」
「大人しくなんてしていられないわよ。結婚するまでに早くいちごを見つけないといけないんだから」
この国の王子であるクリストファー・ダイヤモンドは婚約者だけど私はあいつが嫌いだった。肥満だし性格も悪いし何より格好良くない。結婚することになってもどうせだったら格好いい人の方が良いでしょ?でも私の一番はいちごなので結婚する気はない。親が勝手に決めた結婚だしね、あいつもそんなに私を好きではないと思う。お互いに気が強いために毎回合えば嫌味の言い合いだから。何度泣かせて怒られたか分からない。
いちご…。今どうしているんだろう?寂しがってはいないかな。私と居ないとあの子は大人しいから心配だな。早く会って抱きしめてあげたい。告白の続きも聞きたいしやりたいことがたくさんあるんだ。絶対見つけてあげるから待っててね、いちご。