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情熱的な行き違い

作者: 春村秋

思いつきで書いたのでご容赦ください

ここは貴族の集うスカイ国の誉れ高きスカイ貴族学院である。


私が専属騎士として使えているスカイ・ミミ様は、6人兄弟・姉妹の第一子でありこの国の王位継承権1位の尊きお方である。


表向きはしっかり者で通っている姫様だが、ちょっと抜けている所も実はある。そんな至って普通の淑女である。


そして、そんな姫様と仲の良い南の辺境伯次男ことサウス・ブリンドリー様。

太陽のごとく燃え盛る赤い髪と青い海を思わせる碧い瞳を持つ爽やかな青年の、人生を変えた一日を特等席で見ていた私がご紹介しよう



「ちょっと匿ってくれ!!」

急に窓から飛び込んできた侵入者へ、私は抜きかけていた刀身を鞘に戻した。



そう、この窓から現れた彼こそがサウス・ブリンドリー辺境子息である。


ここは王族にのみに許された休憩室であるが、側近や婚約者・友人らとの歓談にもしばしば利用される。


「また来たの?ご令嬢を巻くくらいなら、早く婚約しなさい。そうしたら、1人の相手で済むわよプレイボーイさん」


姫様が紅茶を飲みながら、答える。


「いいや、言っておくがな?俺はプレイボーイなんかじゃない。あの女たちはあわよくば俺の兄貴の愛人になりたいか親父とのコネ目当てだろうよ」


そう言いながら、いつものようにソファーへ腰をかける。


「俺だってモテ期の1つ欲しかったね」


メイドはすかさずお茶を準備する。

それくらい日常的に彼はここに来ているのだ。


王族に対して不敬であるとも取れるようなこの態度も口調も、姫様が王族のしがらみから逃れられるようで心地いいと喜び、今のような関係になっている。


さすがに外では、双方猫を被っているしなんだったら彼は優等生の部類に入る。


実際に寄ってくる人の中には兄が既婚者だから、愛人を狙っている人も居るのだろう。

親が観光業で資金を莫大に増やしたのも、コネ目当てに躍起な貴族には金塊に見えるのかもしれない。


それでも彼がモテないわけではない。

情熱的な赤い髪色と澄んだ深い海を思わせる瞳がいかにも爽やかな好青年という風貌で、鍛え上げられた肉体も、外では優秀な人格者でもある彼は学年どころか学校中の女性から狙われていると言っても過言ではない。


これはもう気持ちの問題である

領地を名観光地としたことで名を馳せた父と、そんな家業を手伝う優秀な兄を、剣ばかりしか取り柄のない自分と比べている


風がぶわりとブリンドリー様の開け放った窓から入り、姫様の頬や髪を撫で上げ、髪の毛が乱れてしまった。



「あぁ〜!恋愛してぇー」


半ば独り言のように呟くブリンドリー様。


姫様は、乱された髪を整えながら聞き返した。


「え?手紙だしたい??貴方が?ホントにしたいの?」


どうやら姫様は‘’恋愛したい”を‘’手紙出したい”に聞き間違えてしまったようだ


当の発言をしたサウス様はメイドからお茶を受け取っていた。


「ありがとう。

ん?うん?そうだな。したいって言ったぜ。なんか文句あるかよ」



こちらもタイミングが悪く、メイドにもらったお茶に気を取られ姫様のセリフを半分ほど聴き逃してしまっていた。



そこで、姫様が口を開いた



「私がいるじゃない」




ブフォッ


ゲホッゴホッゴホッ


「おっま、なにいってんだ急に!」


お茶をむせながらも懸命に突っ込んでいる。

突然の恋愛立候補に戸惑いを隠せないのであろう、当然の反応である



「ちょっと大丈夫?そんなにむせながら話さなくても……

別に私も毎日暇だなぁと思ってたから丁度いいわよ。」


「いや、(恋愛を)暇だとするものなのか?」


「(手紙を)忙しい時にするものでもないでしょう?」


「まぁ……それはそうだけど」



若干噛み合わない会話も当の本人達は気づかずまま進行していく


「まってくれ、ミミは本気で言ってるのか?」



「本気も何も、貴方がしたいって言い出したのよ??」


「まぁ……確かにそうか。

ところで……そのぉ、ミミは……(俺のことが)好きなのか?」



歯切れの悪い喋り方に、姫様も歯切れが悪くなる。


「な、なによ?悪い!?(手紙のことが)好きよ。柄じゃないかもしれないけれども……」


ブリンドリー様は狼狽えながらも聞き返した。


「え!?そ、そうなのか?というか、いつからだ!?」


「あら、今まで出してる王家の手紙は全部私よ?好きだから出してるの。悪い?」


もちろん公務の手紙を書くことが好きだと言っているだけなのだが、ブリンドリー様はもう気付かないところまで来ていた。


俺のことが好きだからわざわざ俺の家に届く公務の手紙まで彼女が発行していたのか!?



「……も、もしかして、あの王家主催のお茶会の話もデートの誘いみたいな感じだったのか…?あんな公務みたいな手紙で、どうやって気持ちに気付けっていうんだ。」


ごにょごにょとした呟きはミミ様まで届かない


ブリンドリー様がミミ様に提案した

「もっと、内容を私的なものにしてくれないか?」


頷きながらミミ様は言葉を返す

「そうね……(さすがに文通したい人に仕事の手紙はお門違いよね)

じゃあ貴方の予定を手紙で教えてくれる?」



「俺の予定?」


「えぇ。合わせるわ」


「(恋愛の予定を)合わせるわ!?」


思っていたより大きな声が出てしまった

「(恋愛の予定を)合わせようと思って出来るものなのか??」


「手紙の内容も私的なものになるし、私も長期で公務に入ったり貴方も領地に帰っていたら、返事も出せないじゃない。

逆に予定を合わせずにする方が難しいわ。私、来月は隣国に大使として出向かなければならないし……忙しい時は忙しいのよ??」


「な、なるほど…そうだな。

日付を決めて、デートにでも誘うか……(小声)」


勿論彼女は聞こえていないし、

2人が本当のことに気付くのはまだ先のお話

続くかも……しれない?

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