第14話『桔梗とセレナの優雅な(?)休日!!~partⅡ~』
「あー、美味しかった」
「そうですねぇ」
さて、あの後、適当な店に入って昼食を済ませ、
今はいくあても無くぶらぶらしている最中です。
「次はどこに行きましょうかねぇ」
『ひょい』
「がっ!?」
桔梗は何時もどおりの口調でそんなことを言いながら、
誰かを引っ掛けるときのように、真横に足を出す。
長く、すらりとした足は、丁度横を通りかかった
青年の足に直撃、青年はうめき声を上げて前のめりにこけた。
「え?」
セレナがいきなりの出来事に呆けた声を出し、
周りの人々も、何事かと注目する。
「くっ、てめぇ!何しやがるんだ」
そして当然青年からは非難の声が、
しかし、桔梗はそれらの全てを無視して、
「そこの方、財布取られてますよー」
10mほど離れた所を歩いていこうとしていた
主婦らしき女性を呼び止める。
「え?」
主婦らしき女性が振り返ると同時に、
「なっ!?くそ!何でばれたんだ!」
青年が悪態をつきながら、すばやく立ち上がり、
主婦とは逆方向に走り出す、
しかし、桔梗の足のほうが圧倒的に早い。
青年が走り始めるのとほぼ同時に追いかけ始める、
残像さえ生じるほどのスピードに、
あっという間に青年を追い越し、前に立ち塞がる。
「くそ!どけぇ!!」
青年はそう言って桔梗に拳を繰り出すが、
「隙が大きすぎますよ?」
桔梗は余裕綽々で体を左にずらし避ける、
そして、目標を失い伸ばされたままの腕を掴み、
「こんなことをするなら、もう少し鍛えなさい」
そう言って足を払うと同時に、腕を掴んでいる右腕に力を込め、
『ブンッ!』
見事に片手で青年を投げる。
綺麗に空中で一回転して、背中から青年が落下を始める。
それと同時に桔梗の右手が青年の腕から離れ、
一瞬だけ霞む。
そして、再び捉えられるようになったその手には、
主婦の物と思われる財布が握られていた。
桔梗は一瞬で青年の服から財布を抜き取ったのだ。
「ぐぁ!!」
一拍遅れて青年が地面に叩きつけられ、呻き声を上げる。
それを見下ろしながら桔梗は魔法を行使、
「無属性、下級魔法、『バインド』」
拘束魔法で青年の身動きを封じた。
「警備隊が来るまでそうしているんですね」
桔梗はそう言うと、主婦とその近くで待つセレナの元へ、
「どうぞ」
主婦は財布を受け取ると、
「本当にありがとう御座いました」
と、丁寧にお礼を述べる。
「おー!」
「凄いな兄ちゃん!!」
「かっこいいよ!!」
「というか、本当にかっこよくない?」
「たしかに!」
そして周りから巻き起こる歓声。
桔梗は何時もどおり余裕の表情でその声を受けると、
すぐさま、セレナをつれてその場から去った。
余裕の表情でも、ああいう場所に長時間いれるほど
豪胆ではないのだった。
「ふぅ、無駄な運動でしたねぇ」
午前中セレナをつれて転移した公園に再び戻った桔梗とセレナは、
ベンチに座って飲み物を飲みながら一息ついていた。
「でも、あの時は驚いたなぁ、
あの男の人がスリだと言うことには気付いてたけど、
まさかいきなりあんな強行策に出るとは」
「ん、やっぱり気付いてましたか、さすがはセレナですねぇ。
あの時はさっさと捕まえないと、財布の持ち主の人が、
どこかへ行ってしまいそうでしたからね」
そう言って微笑を見せる桔梗、
しかし、その表情がフッと陰る。
「?どうしたの?桔梗?」
「はぁ、もう少し一緒に休みを楽しみたかったんですが、
時間切れのようです」
一緒に休みを楽しみたかったと言う所で、
明らかに嬉しそうな顔をしたセレナだが、
時間切れと言う言葉を聞いて、とてつもなく沈んだ顔になる。
「せっかくの休みをすみません、また今度出かけましょう」
桔梗は斜め方向に誤解しながら、セレナの頭を撫でる。
セレナも誤解は不満だったようだが、
頭を撫でてもらえたことで機嫌を直したようだった。
そして、その言葉を待っていたかのように、
目の前の何も無い空間が歪み、
そこから、光の玉が出てきて、声を発する。
『神界最高幹部、12人会筆頭、神王帝、十六夜桔梗様。
幹部会のお時間です、神界までお越しください』
それだけ言うと、光の玉は音も無く霧散した。
ちなみに神王帝とは、桔梗の神界における地位である。
「セレナ、今聞いたとおりです。
少々出かけてきますが、夜までには戻ります。
夕食、楽しみにしていますよ」
桔梗は笑顔でそう言うと、音も無く姿を消した。
セレナはそれを見て、一瞬悲しい顔をしたが、
すぐに仕事モードの顔になり、
「いってらっしゃいませ、桔梗様」
その言葉と共に、先ほどまで桔梗がいた場所に向け、
恭しく低頭した。
さて、どうだったでしょうか?
やっぱり日常話苦手ですねぇ。
またしてもバトル展開が入りました。
バトル展開と言うより、一方的な戦闘ですが。
というか、最早日常は全く有りませんでしたね。
まぁ、戦闘能力最強系なので、バトルは当然必要なのですが、
日常も必要ですからね。
修行します。
とりあえず、感想お待ちしてます。
それでは、また次回。
お会いしましょう。
次回予告!!
桔梗が神界に赴く!!
最高幹部会とは一体!?
お楽しみに!!