BL漫画のモブでした。
誤字がありましたら言ってください。
短編は初。
俺の名前は川西 佐久間。茶髪が強めの高校1年生!
そして驚くべきことにここは俺、いや前世私が好きだった漫画の世界!生徒会長とひ弱男子がうふうふの漫画だ。
いやー生であの熱い展開が見れるとか最高すぎるわ!そして何よりモブだしな!自分は男子と恋愛するつもりは無い。前世女でも精神は男だ。
そんなわけで入学しました「桜沢学園」
そして俺は一匹狼貫いてます。前世では女だったからその半発もあるのかもしれないな。女はグループで行動するし、グループ内でも発言の強者と弱者がいたり、クラス入って一日目でグループに入らないといけないし、とまぁー大変だった。
そしてもうひとつ一匹狼の利点がある。
「昨日、移動教室の時に生徒会長とぶつかってさ、俺のノート見たみたいで、書記をやらないかって誘われた…」
「面白そうじゃん、やってみたらいいんじゃね?」
「あはは、確かに眼鏡かけてるし似合う似合う」
「…お前らゲームから目を離してもっとまともな答え言ってくれよ…てか眼鏡かけてるやつが似合うなら誰でもいいじゃないか…」
という感じに隣にいる主人公とその友達の3人グループの会話が聞こえてくるんだよねー今の漫画での進行状況とか生で聴こえる!最高すぎる。ちなみに俺は今ひとり飯。男子はひとり飯結構多いから楽でいいわ。スマホ触ってるフリして隣の声聞くの最高すぎる。
ああ、説明しとこう。まず受けの主人公「神澤 照屋」根暗で天パだけど、メガネをとって泣いてる姿を生徒会長が発見。その姿に背筋がぞわ〜ってきた会長。こいつを泣かせていいのは俺だけ的な独占欲を見せる生徒会長にドキドキさせられっぱなし。神澤はメガネ取るとまじ可愛い。
次に生徒会長。「関谷 直也」なんでも出来ちゃうエリート君。ハーフなため髪の色は金髪。神澤に『なおくん』と読んでもらう度にドキドキさせられてるやつ。
あ、そうこうしてたら生徒会長のやつが来たな。
「神澤くん。書記の件どうかな?やってくれない?」
「神澤〜生徒会長直々のご指名だぞーやってやれよーあははは」
「かいちょーこいつさっきやろうかなって言ってたんでいいと思いますよー」
「え、ちょ2人とも何言って…」
「ほんと神澤くん!良かった!」
「え、いや、あ、はい、大丈夫です。あは」
そういうや否や生徒会長は去っていった。
「良かったなー神澤ーこれで生徒会入だそーあははは」
「生徒会入れたの俺のおかげだから後でジュース奢りで」
「は?何言ってるんだよ…!おい聞いてるのか?」
こんな近くであの二人のやり取り見られるなんて最高だな。モブ最高。2人ともアシストナイス!
あ、そうだナイスなおふたりの説明もしとこう。1人目のパーカーを着たキチガイ野郎は中村真也2人目の真っ黒な髪の毛腹黒野郎は蔭山 拓海。
そんなことを考えていると蔭山が来た。
「おい川西、今日帰ったらゲームで対戦しないか?」
「あーわり〜今日はパスだわ、この茶髪のせいで今日の頭髪検査引っかかって生徒指導室いきなんだよ」
「お前の茶髪きついもんなー染めてんじゃないかって最初俺も思ったわ」
「嫌味か?この真っ黒くろすけ頭め」
「だからそう言ってるじゃないか茶髪くん」
「お前ー今日10時からゲームで対戦だ!覚えとけ!」
「本当に単純な脳してるなーお前」
「言われたら言い返す。やられたらやり返すが俺のモットーでねー」
「左様ですか、それじゃー10時にな」
「ん」
そうこうしてる間に昼休み終わりのチャイムが鳴った。
◇
「ちっ、あんの先生話長いんだよ。地毛なのになんでこんなに時間取られて話しなきゃなんないんだ」
そんなことをブツブツ呟きながら家の扉を開ける。
入ると姉がまちかまえていた。
「そー帰ってきたな!佐久間!ふふふ、今日の私は恨みを晴らすぞー!」
「は?入ってそうそうなんだよ」
「私のプリン食べただろ!言い逃れは許さないぞ!」
「あー食べた食べた。同じプリンまた買ってきてもらえばいいだろ」
「あれはお母さんが買ってきたんじゃなくて私が買ったの!ちょっと私の仕返しに力貸しなさいよ!」
「仕返しされるやつが手を貸すバカはいないだろ!」
「そんなことどうだうだっていいの!もう準備してあるからこっち来なさい!」
俺は姉に引っ張られ部屋に入った。
そして椅子に座らされた。
◇
「おい、姉ちゃん」
「いい感じにできたねー」
「なーにがいい感じだ!このボケ!なんでカツラ被せて女みたいなカッコしなくちゃなんないんだよ!」
「えー可愛いよ?あ、ついでにこの服でプリン買ってきてね♡」
「いや、行かないから。無理だから」
「別にいいよ、この前ネットで買って「あー買ってこればいいんだろ買ってこれば!」よろしい。」
◇
そんなこんなで俺は今コンビニに向かっている。
足がすーすーする。女ってこんなの履いてるのか!てか前世女だったけど、もうホント男なんだな俺。
「さっさと買ってかえりてー…は?」
コンビニの前にスマホを触っている見知った人影がある。
あれ蔭山じゃね?不味くね?かなり顔をメイクで変えてるけど毎日顔見合せてんだよ俺ら。バレるくね?
まずいまずいまずいまずいまずいまずい!
え、黒歴史あいつに晒すの?あいつ腹黒だよ?一生弄ばれる運命しか見えないんだけど。
とにかくなるべく顔見ないように通り過ぎる。
ってえーなんで今コンビニはいる訳?今まで前にいたのに?意味わからんやめろよ
心拍数が急激に上がる。
とにかく急いでプリンを手に取り、レジに駆け込む。
あ、やべ、焦りすぎて金落とした。
ア゛ア゛ア゛!なんでお前が拾うんだよ蔭山こんちくしょー!
「落としましたよ」
喋れない。会釈だけしとこ。
ああああ
マジ焦った。バレてない?バレてないよな?何も言ってこなかったし。めっちゃ顔ガン見されたけど。
俺は小走りで家に帰ることにした。
ちっ、スカートまた開きやすいけどめくれるのどうにかして欲しい。
………今晩のゲーム断ろ。今の精神状況では無理だわ。何言われるかわからん。
◇
次の日。
めっちゃ緊張する。やばい、吐き気するわ、胃の中がムカムカする。おえってしたいけど、精神的に吐き気が来てるだけで吐けそうにない。
「おはよう川西」
「お、おはよう蔭山」
「あー川西はよー!てか聞けよーなんと蔭山一目惚れしたらしいぜー!あははは」
「へーまじか!誰誰!」
とにかくなんか喋らないと苦しい。胃がめっちゃ。てかあの蔭山が一目惚れだと!?あーこれはおちょくりネタ確実だわー!
「昨日さーコンビニ行った時に出会った人なんだけどな、すごい顔が好みで見てたら金落としちゃうとかドジもするとかすごい可愛い子なんだよね。」
え、なにそれ俺じゃん話題間違えたよ。
てか、一目惚れとか、コンビニ着いてきたのそういう意味だったのか!?まじかよ、俺の女装だそ!?あ、まさか俺だってわかってやってるのか?俺で遊んでやがるのかこいつ?それもそれで胃が…痛い痛い
「う、うわぁーお前が一目惚れとかありえないわー」
できるだけ穏便にこの話の内容を変えよう。俺の胃が持たない。マジで。
「蔭山ー!言うとこそれだけじゃないだろーお前さっきその子に告白断られたら監禁するとかほざいてたじゃねーかーあははは」
「おい、まじかよー!冗談きついぜそれはさー!お前が一目惚れしたぐらいだから彼氏とかいんじゃねーの?てか誰なんだよその女の人さ」
監禁とか冗談だよな?まじで、そんなの漫画の世界で十分なんだよ。やめろマジで。俺男だから。二度とあの格好するつもりないから。まじ姉ちゃんすいませんでした。二度とプリン食べないから。女装は勘弁してください。てか、これガチな方じゃないか!?脅しとかじゃなくてマジで。
「あー女の人ならわかるよ。あの後、後ろ姿だけど写真撮ったしね。」
「まじかよーそれ早く言えよー!
「おー見たい見たい」
見たくない見たくない。いや何それ、盗撮だろ、それ!やめろー!
「ほらこれ」
俺だわ。
「むー後ろ姿からじゃわかんないなーあはは」
「あーこれじゃ顔わかんないし見つけんのは無理だな諦めろよー」
そうだよ、諦めろ。男だそいつは。ちょっとまてよ。思い出したぞ。こいつかげで男と付き合ってる設定だった。たしか俺が死んだあと発売された巻にはその彼氏が分かるはずだったんだよ。え、まさか漫画に出てきてない俺とかないよな?え、そんなわけないよな?
完璧忘れてた。ここは漫画の世界だよ、男と付き合うのとか普通に周りにゴロゴロいる世界だったよ…
はー…そういえばキチガイ中村も付き合ってたな男と。確か結構ガタイのいい男の大里ってやつだったけ?あのCPは俺好きじゃなかったからあんまし読んでなかったけど。
「諦めないよ。多分あのコンビニに歩いてくるくらいだから周辺に住んでるのは間違いないね。俺は逃がすつもりないからさ。」
うわぁーなんだろう。濁った目してるぞお前。怖ーよ普通に怖いよ。背筋ゾワッてきたよ。
「あーあ、蔭山にめー付けられた彼女ご愁傷さまだなー。あはは。なんて言うんだっけこれ。あれだ、ヤンデレだ。こいつ腹黒じゃなくてヤンデレだったんだわ。あははは」
「あー、見てるこっちまで怖かったな」
俺狙われてんの!?こっわ!え、ヤンデレとか小説と漫画で十分なんですけど。
「あは、絶対捕まえるよ。」
副音声で逃がさないって聞こえますね。はい。
え、なに。なんでこっち向いて言うんですか蔭山さん。実は気づいてたりします?え、こっわ。絶対逃げるよ。俺は。BLなんて鑑賞で十分なんですよ。俺、一匹狼でいいんで。
この後家に帰ると、一昨日つまみ食いしたケーキの件が見つかり女装させられることを俺は知らないでいた。