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地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第伍章・時間潰しのスタンプラリー
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第七十一話 再起

 人の声のしない駅内に、衝突音が響く。


 外の人間に知られていないこの空間では今、二人の異形(いけい)の者たち同士の殺し合いが行われていた。


「大体、なんであいつら喰うの駄目なんだよ!!! おまえだって、()()は喰ってたじゃねえかよ!!! 」

「あの頃は、ご主人様に命令されてて仕方なかったのよ!!! 」

「だったら俺だって今命令されてるんだぞ? 喰っちゃいけねえ理由なんざねえじゃん!!! 」

「それは……」


 殴り合いながら、アナホベとハシヒトは口論していた。

 

 ハシヒトが返答に困り隙が出来た瞬間に、アナホベがハシヒトの腹に左拳を打ち込んだ。


 痛みに表情を歪めながら、ハシヒトは後方へと飛ばされた。

 なんとか転倒せずに済んだが、すぐ次の攻撃が来る。


 アナホベがハシヒトに詰め寄り、ハシヒトの首めがけて右足を上げて回し蹴りを打ち込んできた。


 ハシヒトに当たった感触があり、アナホベは やったか? と考えていたが、その判断は間違っていた。


 確かにアナホベの蹴りは当たっていたが、アナホベとハシヒトの首の間に、ハシヒトの手があった。

 ハシヒトはそのままアナホベの足を掴み、手を上に上げ、勢いをつけて地面に打ち付けた。


 「あ゛っ!! 」と短い声を出してから、アナホベは吐血した。

 ハシヒトはアナホベの足から手を離し、少し離れた。


 そして、ハシヒトの予想通りアナホベはすぐに立ち上がった。


 床に血をペッと吐き、左手で血の付いた口元を拭いた。


「……結構やるじゃねえか」

「褒めてもらわなくて結構よ」



 そこから、殴り殴られ蹴り蹴られる戦いが続いた。

 お互いが、お互いを殺すつもりで戦っていた。


 痛みなどは、途中から感じなくなってきていた。

 ただ自分の力、殺意を込めて、ひたすら相手に攻撃を与えていた。


 アナホベとハシヒトは、どちらとも限界を迎えてきていた。


 手は初めに片方折れ、相手からの殴打などを受けてダメージが蓄積されていた肉体。

 二人の体は、既に満身創痍だった。


 二人の荒い息遣いが、その場に響き渡っていた。


「負けて……たまるか……! 」


 アナホベは力を振り絞り、ハシヒトに突進した。

 しかし、体力はすでに限界。

 下手をすれば、この突進が諸刃の剣となり、ハシヒトと共にアナホベも死ぬ可能性があった。

 そのようなことを、アナホベは考えていなかった。


 ハシヒトは動かなかった。

 動かないハシヒトをめがけて、アナホベはそのまま突進していった。


「これで……俺の……勝ち……! 」


 アナホベがそう言った時だった。


 

 やめなさい!! 豪輝!!!



 アナホベの耳に、どこかからか声が聞こえてきた。

 ハシヒトの声でも、ただただ戦いを見ていた綺たちの声でも、誰の声でもなかった。


 男性の声。それも、五、六十代ぐらいの声だった。

 ショウアンとは違った、ハキハキとしてる声だった。

 この声は………………。



「…………父ちゃん………………? 」

ベタですねえ

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