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地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第伍章・時間潰しのスタンプラリー
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第六十四話 出立

※会話多めです

「私たちは休憩する? 」

「うーん、でもスタンプあと一個だし、取りに行っちゃった方がいいと思うけど…」


 綺と晃がどうしようかと悩んでいた時、スイコとテンノが入ってきた。


「ツギイクトキハ」

「ワタシタチモ、ツイテイキターイ」


「まだ行くって決まったわけじゃ…」

 と晃が言うと、後ろから右袖をクイッと引っ張られた。


 振り向くと、引っ張っていたのはヨウダイだった。


「どうかしましたか? 」


 晃は心の中で、ヨウダイに対して (可愛いな…) と呟いていた。


「私も…私も…駅…駅見たいわ…。ついて…行きたい…ついて…行きたいわ…」



 ヨウダイもついていくと言い出した。

 そのことに、スイコとテンノは一瞬「エッ」と声を漏らしたが、誰も反対はしなかった。


「じゃあ、ヨウダイさんもくるということで…」

「楽しみ…楽しみ…」


「私はどうすればいいかしら~? 」


 美香子が綺たちに聞いた。


「ミカコハ、テツアキミテタラ? 」

「チリョウデキルシ、タタカエルシ」

「マサニ、」


「「サイショクケンビー」」


 スイコとテンノが息を合わせて言った。

 美香子は照れて、少し顔を赤くした。


「じゃあ~私は結局どうすれば~…」


「私もスイコとテンノ(この子たち)と同じ意見です。残った方が、鐵昌さんも安心するかと思います」

「一人より二人の方が心強いでしょうし…」


「いや…俺は別に一人でも…」

 鐵昌が言ったが誰の耳にも届いておらず、美香子は「…なら私は残るわ~」と言った。



「いつ行く? 」

「ヒマダカラ、イマスグイッチャオウヨ」


 スイコが晃の肩に乗って言ってきた。

 スイコに続いて、テンノも晃の肩に乗った。


「今すぐ…? 今すぐ…? いいわよ…行きたい…行きたい…」


 心なしかヨウダイはワクワクしているように見えた。


「綺は大丈夫? 」

「大丈夫だよ」


 綺は鉄パイプを握りながら言った。


「なら行っちゃおうか」

「うん。では美香子さん、鐵昌さん。行ってまいります! 」


「あ~綺ちゃんたち~。念のためにこれ持っていったらどうかしら~」


 美香子が渡してきたものは、トランシーバーだった。


「何かあったらこれで教えてね~」


「ありがとうございます。それでは気を取り直して、美香子さん、鐵昌さん。行ってまいります! 」

 綺が美香子と鐵昌に向かって、敬礼する。


 美香子は手を振りながら「いってらっしゃい~」と見送った。

 鐵昌は声を絞って「無理だけはするなよ…」と言ったが、また誰にも聞こえてなかった。

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