表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第伍章・時間潰しのスタンプラリー
62/101

第六十話 交わる

 コンビニの外に飛び出し、辺りを見渡すアナホベ。


「っと…あ!! いた!! 待ちやがれー!!!! 」


 コンビニから離れたところで歩いている鐵昌とヨウダイを、アナホベが発見した。

 そして、走り出す。


「見つかった…見つかった…」

「チッ…! …とっとと走って逃げ…」


「テツアキ! アブナイ! 」

「ヨケテ! 」

 スイコとテンノが言う。


 一瞬のうちに鐵昌の背後に移動したアナホベが、拳を振りかざそうとしていた。


 その拳を、間一髪で避けた。


 さっきと同じように、アナホベが床に衝突し、床に亀裂が走る。

「…今のうちに、走るぞ」


「ああ…分かったわ…分かったわ…」


 鐵昌とヨウダイはアナホベから離れるために走った。


 真っ直ぐ走って距離を稼ごうとしたが、正面には大勢のバキュロが蠢いていた。

 後ろからはアナホベが来ており、武器なども唐突のことで持ってくるのを忘れてしまったので、残された道はバキュロのいない右の通路へと曲がるしかなかった。


 鐵昌とヨウダイはバキュロを避けるために右に曲がった。






 



「ショウアンさん。また来てしまってすみません」

「いえいえ。蘇我見様たちを手助けするのが、(わたくし)の役目なので」


 綺、晃、美香子は再びショウアンのところに来ていた。


「聖間社長の会社って、何年前に開業したんですか? 」

「会社というと…『ウマヤド』のことでございますね。少々お待ちを…」


 そういうと、沈黙が流れた。


「…正確な年代は分かりませんでしたが、開業した年は一九八〇年代と分かりました。とすると、開業したのは今から約三十…いえ、四十年くらい前ということになるでしょう」


「約四十年かあ。意外と歴史浅いんだね」

「そうだね」

 綺たちはお礼を言って、ショウアンの元を去ろうとしたその時だった。


「あっ、お待ちください」


「どうかしましたか?」

 ショウアンに止められた。


「今通路に出るのは…」

 そうショウアンが言ったとき、通路の方から タッタッタッという走っているような足音が聞こえた。







「…マジか」


 鐵昌とヨウダイが曲がった先は、行き止まりだった。

 左右に店があり、道の先にはシャッターが降りていた。


 上から垂れ下がっている看板には、『如月駅 南出口』と書かれていた。


 一気に走ったせいでヨウダイは息切れしていた。

「…大丈夫か?」

「ああ…だいじょ…だいじょうぶ…だいじょうぶ…」


 その時だった。


「次こそ当たれえええええ!!!!!! 」


「しまっ…!」


 アナホベが鐵昌の腹に向かい、右の拳を打ち込んだ。

 とっさのことで回避もガードも間に合わずもろに喰らってしまい、体がくの字に折れ曲がった。


 鐵昌は勢いを落とさないまま、店のガラスに体をぶつけた。

 その衝撃でガラスにピシピシとヒビが入り、最終的にガラスは割れ、鐵昌はそのまま店の中に飛ばされた。








「あら~? なんか足音聞こえないかしら~? 」

「本当だ。あと、凄く聞き覚えのあるような声が聞こえてきたような…」


 店の中からガラス越しに、通路の様子が見えるので、綺たちは振り向いて通路を確認しようとしたその時だった。



 ピシピシッ、ガッシャァァァァァーーーーン!!!!。




 突然ガラスが割れ、何かが店内に向かって飛んできた。

 何が飛んできたのかは、一瞬で分かった。


「て、鐵昌さん!? 」


 飛んできたのは、鐵昌だった。

 アナホベの攻撃を受けて飛ばされた店は、ショウアンがいる店だったのだ。


「か、海外のアクション映画みたいな登場の仕方してきた!! どうしたんですか!? …あれ? 鐵昌さん? 」


 綺が飛び込んできた鐵昌に近寄り話しかけた。


「…し」


「し? 」


「死んだかと…思った…」


 そういうと、鐵昌は喋らなくなった。

 美香子が鐵昌の手首を触る。


「大丈夫よ~。気絶しているだけだわ~」

「ああ…良かった…」


 晃が胸を撫でおろす。


「にしても、何があったんだろ…って、あれ!! 」


 綺は鐵昌が飛んで来た方を指さした。

 晃と美香子が、その方向を見る。


 通路にヨウダイと、アナホベがいた。


「いや…いや…こないで…こないで…」


「もう無理だ…!!! とっとと喰わせろ!! 」


 アナホベは、ヨウダイの首を掴もうとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ