第四十四話 夢
最近サバイバルっぽくない?
申し訳ございません! 次回からはバトルとかする予定です!
コンビニの従業員部屋の扉を開けて、鐵昌が中に入る。
「おかえりなさい~」
美香子が言う。
帰ってきた鐵昌の姿を見て、綺と晃は「んん? 」と眉を寄せていた。
「なんか髪サラサラになってませんか? 」
「服の汚れなくなってませんか? あと三つ編みも…」
綺と晃が鐵昌に質問する。
鐵昌が一人で風呂に言ってきたことを話すと、晃が驚いた声をあげていた。
「入るんだったらあの時一緒に入ればよかったじゃないですか」
「…」
鐵昌は何も答えなかったが、晃に少し近づき、「今度また三つ編みやってくれよ」と晃にだけ聞こえるくらいの小さな声で言った。
晃は一瞬「えっ? 」と思って鐵昌の方を向いた。
鐵昌は晃に背を向けてエアガンやビニール袋、鋏を置き、壁の方を向いて寝っ転がった。
「鐵昌さん…? 」
「…寝る」
そう言うと、鐵昌はスウスウと眠りだした。
美香子が時計を確認すると、時刻は午前一時を回っていた。
「あらあら~。もうこんな時間なのね~」
「イワレテミレバ、イマネムイ」
そうして、部屋にいたみんなが眠りだした。
綺はもう硬い床で寝るのに、すっかり慣れていた。
「美香子…美香子! なにボーっとしてるの? 」
美香子はボーっとしていたのか、自分を呼ばれた声でハッとした。
周りを見渡すと、美香子が見慣れた場所に居た。
実家だった。実家の居間。
「全く。まあ美香子はいつもボーっとしてる雰囲気が漂ってるよね。そういうところも可愛くて好きなんだけどね」
声のした方を向く。
美香子は、声の主の姿を見て驚いていた。
「お姉ちゃん~!? 」
「ん? なに驚いてるの? 」
美香子の姉がいた。
美香子と違って勝ち気で強気な人格の姉だった。
「あんたさ、今彼氏と上手くいってるの? 」
「…? 」
美香子は姉の言葉に首を傾げた。
美香子には高校時代、付き合っていた彼氏がいた。
彼氏の方から告白され青春を謳歌していたが、あることをきっかけに、別れたのだ。
「な、何言ってるの~お姉ちゃん~? もう別れたわよ~?」
「え!? 嘘だー! 今さっき一緒に帰ってきたじゃない。 仲睦まじそうにさ」
姉にそう言われ、美香子はカレンダーを見た。
その日はまだ彼氏と別れていない日だった。
自分が着ている服を見てみると、高校時代の制服を着ていた。よく確認すると、髪も結んでいた。
美香子は心の中で混乱していた。
そんな時だった。
「おかえり美香子。ご飯できてるわよ」
懐かしい声が聞こえ、美香子は再度声がした方を向く。
声の主に、美香子は姉を見たよりも衝撃を受けていた。
「お、お母さ――」
「美香子さん? 」
そう呼ばれた瞬間、美香子はガバっと起き上がる。
「晃くん~…? 」
「す、すみません。起こしちゃって」
「いや~…大丈夫よ~気にしなくて~…」
夢だったのだ。
そしてその夢は、忘れられなかった。




