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地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第肆章・数ある中の成功例
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第四十一話 合流

注意・犬〇家要素強め

 美香子たちは綺たちを探していた。

「やっぱ先戻ってるんじゃねえのか? 」

「うーん~。そうなのかしら~…」


 美香子たちは諦めてコンビニに戻ろうとしていた。

 その時テンノが「ン? 」と声を出して何かに反応した。


「ナンカキコエル」

 そうテンノが言った数秒後、美香子たちの背後からドドドドドという音が聞こえてきた。


 その音は段々と大きくなり、大きくなると同時に声も聞こえてきた。

 美香子と鐵昌は音が聞こえてきた方向を同時に振り向く。

 こちらに向かって何者かが走ってきていた。


 何者かが走って足を地面につける度に、地面が細かく振動してくるのが伝わってくる。


「いたあああああああ!!!!!!! 人間だああああああ!!!!!!! 」


 アナホベだった。


 次の瞬間、アナホベは高く飛び上がり右手の握りこぶしを美香子たちの方に振りかざしてきた。

「ミカコ! テツアキ! ヨケテ! 」


 テンノが珍しく急かしたような感じで言った。

 美香子は一瞬何をすればいいのか分からなくなり焦って固まっていた。

 その時、鐵昌が美香子の腕を引いて無理矢理その場から動かした。


 次の瞬間、さっき美香子と鐵昌がいた場所にアナホベの拳が振りかざされた。


 拳は地面にあたり、大きな轟音が鳴り響いた。地面の亀裂が少し離れていた美香子たちの方まで広がってきていた。


 もしも当たっていたら間違いなく生きてはいられなかっただろう。美香子はゾッとしていた。









「い、今の音なに? 」

 アナホベが地面に拳を振りかざした音は、少し離れたところにいた綺、晃、スイコ、そしてハシヒトの方にも聞こえていた。


「まさか…! ねえ。あなたたちの他に誰か生きてる人間っている? 」

「え? は、はい。美香子さんと鐵昌さんが・・・」


「美香子さん…鐵昌さん…。あ! ご主人様が言ってた人たちの名前!!! 」


 ハシヒトの顔がみるみる青ざめていく。

 晃は心の中で「社長に僕たちの名前教えられたのかな…? 」と考えていた。


「なにかあるんですか? 」

「さっき私と話してたアナホベなんだけど…。実はね、私とアナホベは生きてる人間を探していたの」


 その言葉に、綺と晃は「えっ? 」と思って少しハシヒトから離れた。

 ハシヒトは焦って「だから私は何もしないわよ」と言った。


 そこから、アナホベとハシヒトが聖間に吹き込まれて綺たちを探しに来たことを綺と晃に話した。


「ということは…。まさか!美香子さんたちのところに…! 」

「可能性はあるわ…」


 綺と晃はどうしようと焦っていた。その時、スイコが口を開いた。

「コノミチヲ、マッスグモドッテ、ミギニマガル。ソコカラスコシススンデ、ヒダリニマガル」

「スイコ…? 」

「ソコガ、オンゲン」


 音源。

 綺と晃とハシヒトはスイコが冷静に音源の場所を言い出すのを見て、少し目を丸くしていた。

 音源ということは、そこからさっきの音が鳴っているということ。


「そこで、さっきの音が鳴ったの? 」

「ウン。ハヤク、ソコイコウ」


 信じていいのか分からなかったが、今はとりあえずスイコの言うことを聞いた。








「おおおおおおおおおおおい!!!!!! なんで避けるんだああああああ!!!!!! 」


「そりゃ避けるだろ…」 

 鐵昌が呆れて言った。


 アナホベは立ち上がって美香子たちの方を指さして言った。


「もしかして!!!! お前たちが!!!! ご主人様が言ってた!!! 美香子と鐵昌か!!!!????」

「そ~そうですけど~・・・。あなたは一体~? 」

「俺はアナホベ!!!!! 腹減ったから!!! お前たち喰う!!!! 」

「?? 」


 美香子は理解が出来ず「 ? 」を浮かべた。

「いきなり出てきておいて…。なんだよお前。なんで俺らのこと知ってんだよ…」

「今言ったばかりだろ!!!??? 俺はアナホベだ!!!!! 」

「いやそういう意味じゃなくて」


 鐵昌がアナホベと話そうとする。

 しかしいまいち会話が噛み合わず少し呆れていた。


 その時、アナホベが美香子たちに向かって勢いよく突進してきた。

 美香子と鐵昌は間一髪のところで避けた。

 かなりギリギリで避けたので、避けた瞬間に強風を浴びた。


「だからなんで避けるんだああああああ!!!? 」

「なんでって言われても~…」



 美香子たちを疑問視するアナホベに、鐵昌はいきなりエアガンを撃った。

 美香子は一瞬「えっ~!? 」と思ったが、次の瞬間を見て、少しゾッとしていた。


「おいおい…!!!! いきなり物騒なもん撃ちやがって!!!! 面白れえ奴だな!!! 」


 アナホベは、至近距離から撃たれたBB弾を頭を傾けて避けていたのだ。

 鐵昌は舌打ちをしてエアガンを降ろした。


「喰うのは惜しいけどよ…!!!! 食欲には抗えねえ!!!! 次は絶対に喰う!!!!! 」


 アナホベは笑いながら美香子たちに飛び掛かる。

 次流石に避けられず、死を覚悟した美香子と鐵昌。その時だった。


「サッキカラ、ミミザワリナンダヨ」


 美香子の肩からテンノがアナホベの方に飛び出す。

 アナホベはさっきまで見えていなかったテンノの姿に、少し驚いていた。


「おっ、お前は…!!!! 」


 テンノの姿を見て、何かを言おうとしていたアナホベだったが、次の瞬間には何も言えない状態になっていた。

 テンノの短い腕と拳から繰り出されたパンチがアナホベの頭に当たる。

 しかしそのパンチには予想できないくらいの力が込められていた。


 アナホベの頭はスイコのパンチによって激しい轟音と共に地面にめり込み、まるで犬〇家のようになっていた。


 美香子と鐵昌はスイコの破壊力に驚いていた。

「ヤット、シズカニ、ナッタ」


 と、言いながら何事も無かったかのように美香子の肩に飛び移るスイコ。

 それと同時に、綺たちが美香子たちと合流した。


「美香子さん!」

「綺ちゃん~! 無事でよかったわ~!」

「美香子さんも無事でなによりですけど…」

 綺は場の光景を見ていた。


 美しい女性(美香子)肩に乗る幼女(テンノ)物静かな男性(鐵昌)と…犬〇家(アナホベ)


 綺の頭の中は、犬〇家でいっぱいになっていた。


「犬〇家だ…」

「あ、同じこと思ってる人いた」



 晃はが思っていたことをそのまま言ってくれていた。

 ハシヒトは犬〇家状態のアナホベに近づいて生存確認していた。


 初めて対面したハシヒトに、美香子は少し驚いていたが、綺と晃がハシヒトとアナホベのことを説明して、場は落ち着いていた。

 美香子たちも、犬〇家状態の詳細をテンノがやったとサラッと話した。綺と晃は苦笑いしていた。



「今この子は意識ないですけど、再生能力が高いのでもうすぐ目覚めると思います。今のうちに、みなさんはお逃げください」


 ハシヒトが淡々と言ったので、綺たちは挨拶をしてその場を去った。





「…犬〇家なんて、人間の時以来に見たわよ」

 ハシヒトは苦笑いしながら、アナホベを見ていた。

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