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地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第弐章・出会いに出会う
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第二十九話 成功例

「んじゃそういうことで! これからも死なないように頑張って生きてね~! 」


 聖間が美香子と鐵昌に背を向け扉を開ける。

「攻略のヒントが欲しかったら…いつでも呼んでくれてかまわないからね?」


 聖間は首だけを動かして美香子と鐵昌の方を見て喋る。

 目を細め、ニヤニヤとしながら言った後、扉を通り閉めた。


「あらあら~! ちょっとまだ聞きたいことが~…」

 美香子が扉を開ける。

 しかし、聖間の姿は無かった。


 あたりを見渡しても、人も、謎の生物バキュロすらいなかった。


「いなくなってる~…? 」

 美香子はあたりを再度見渡した。

「…一旦晃たちの元へ戻ろう。このことは、一応言っておこうぜ」

「そ、そうですね~」


 美香子と鐵昌は扉を通る。その時だった。


「ココガ、ゴシュジンサマガイッテタ『ドーゴヨクジョウ』? 」

「タブン、ソウダトオモウヨ」


 突如聞こえた第三者、第四者の声。

 美香子と鐵昌はその声を聞いて誰だと思いながらあたりを見渡す。


「デ、コノヒトタチダレ? 」

「コノヒトタチガ、ゴシュジンサマガイッテタ、ミカコと、テツアキジャナイノ? 」


 声はすぐ近くから聞こえる。

 ふと気づき、美香子と鐵昌は同時に足元を見る。


 そこにいたのは、とても小さくお互い容姿が似ている双子の子供だった。


 ただ、肌の色がバキュロと同じ、喋り方が片言なことから、この二人は人間ではないとすぐに察しがついた。


 美香子は驚き、少し後退した。それを見てその子たちは、声を揃えて「ア、ヤットキヅイタ」と言った。

 鐵昌は表情も行動もなにも変えなかった。そして、足元にいる子に向かって話しかけた。


「お前ら…人間なのか? 」


「オオ。ゴシュジンサマガイッテタトオリ、テツアキアタリツヨイ」

「ワタシタチ、ニンゲンジャナイヨ」


「そうか…やけに話し方に人間味がある感じがしてな…」

「デモ。ゴシュジンサマイッテタ。ワタシタチ、『セイコウレイ』ダッテ」

「ワタシタチ、ホカノヤツトクラベテ、ニンゲンニチカイカラ」


「人間に近いから成功例…? 」

 鐵昌が腕を組む。

 後ずさりしていた美香子が二人に近づき、話しかける。


「えっと~。ズバリ二人は~何者なのかしら~?」


「ソッカ。マダイッテナカッタ」

「ワタシハ、スイコ」

「ワタシハ、テンノ」

「ワタシタチハ、カンセンリョクガナクテ」

「ヒトニムガイナ、セイコウレイノバキュロ」


「「ッテ、ゴシュジンサマガイッテタ」」


 息ぴったりの二人。

 スカートを履いている方がスイコ。ズボンを履いている方がテンノ。

 スカートかズボンか。それぐらいしか、二人を見分ける方法がなかった。


「ホントウニ、カンセンリョクナイ」

「カミツイテモ、ハダサワッテモ」

「ニンゲン、バキュロナンナイ」


「「ッテ、ゴシュジンサマガ・・・」」


「あーはいはい。もう分かった」

 鐵昌が面倒くさそうにスイコとテンノのセリフを遮る。


「…お前らが言うご主人様ってのは、聖間 胡霧のことか?」

「ソリャソウダヨ」

「ワタシタチ、ウンデクレタヨウナヒトダモン」


「産んでくれたって…お前らは人造人間みたいなもんなのかよ」

「イヤチガウヨ? トイウカ、ニンゲンジャナイシ」

「モトモト、ワタシタチ、コノエキツカッテタ、ニンゲンダッタヨ」


「マア、ニンゲンダッタコロノ、キオクハナイケドネ」

「ワタシタチ、ノウミソ、クサッテルカラネ。ブツリテキニ」

「あらあら~。元々人間だったのね~」


 美香子はスイコとテンノの顔をしゃがんで覗き込む。


「そろそろ戻ろうぜ。何気に時間結構経ってるしよ」

「そうね~。綺ちゃんたちお腹すかせて待ってるかもしれないしね~」

 美香子が立ち上がり、鐵昌と一緒にその場を去ろうとする。


「ドッカイクノ? 」


 スイコかテンノ。どっちかが訪ねてきた。

「私たちの拠点~? に帰るのよ~」

「ヒマダカライキターイ」

「ツイテイキターイ」


 スイコとテンノが手を挙げながら言う。

 美香子は「えっ」と声を出してから鐵昌の方を向いた。

 鐵昌は何も言わず、ただ目を細めながらスイコとテンノを見ていた。


「モシカシテ、テツアキ…」


「ワタシタチノセイデ、ゴシュジンニ、イバショガバレルノ、シンパイシテル? 」


「…それも少しあるけど」

「シンパイスルヒツヨウナイヨ」

「ドウセゴシュジン、テツアキタチノキョテンシッテルシ。イマダッテ、ワタシタチノコト、ミテルシ」


 スイコとテンノにそう言われ、鐵昌は小さく溜息を吐いた。

「…別に…ついてきても俺は構わねえけど・・・お前はどうだ? 」

「私もついてきていいと思ってるわよ~」


 美香子と鐵昌の言葉に、スイコとテンノは同じ声のトーンで「「ワーイ」」と喜んでいた。


 その次に、スイコとテンノが美香子と鐵昌に近づき、スイコが美香子の胸に。テンノが鐵昌の頭に飛び乗った。

 体に見合わない驚異的な跳躍力に、鐵昌は少し驚いていた。

「アンナイシテー」

「アルクノ、メンドウクサーイ」


 美香子は胸にしがみついているスイコを手の上に乗せた。美香子はスイコがかわいく見えた。

 鐵昌の頭の上にいるテンノは体をうつ伏せにし、顔を前に向けながら鐵昌に「ススメー」と指示していた。


 鐵昌は最初はすぐ頭からテンノを降ろそうかと思ったが、面倒くさくなりそのまま綺たちの元へ戻ることにした。

片仮名のセリフが分かりづらかったらごめんなさい。

セリフででスイコとテンノを表す方法を考えた結果、こうなってしまいました

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