第二十五話 予想外
(喋れたのかお前…)
苦笑い気味で鐵昌は言う。
「てか…『ゴシュジンサマ』って何のことだ? 」
謎の生物に問う。
謎の生物は鐵昌を喰いたいと言っているだけで、質問に応じようとしない。
鐵昌に向かって謎の生物が跳びかかる。鐵昌は一手先を読み謎の生物をかわした。
謎の生物は口をあけながら鐵昌の方を見る。笑っているようにも見えた。
謎の生物が一直線に鐵昌に詰め寄る。
口を開けて鐵昌に噛みつこうとしたとき、鐵昌は開いた謎の生物の口の中に銜えていた煙草を投げ込んだ。
謎の生物の口の中で七百度に熱された煙草を投げ入れられ、謎の生物は痰が絡んだような声で呻き、その場に煙草を吐いた。
「もう一度聞くぜ。『ゴシュジンサマ』って何のことだ?」
地面にへばりついている謎の怪物に尋ねる。
謎の生物は感情の読めないような声を出しながら鐵昌に手を伸ばす。
鐵昌は舌打ちをしてから近くにあったコンクリートの塊を手に取る。
コンクリートは手よりも大きく、重量もあったが、握力を意識して指がフィットするところを見つけたら、片手でも持ち上げることが出来た。
「聞くだけ無駄だった…ってことかよ」
足元にある謎の生物の頭に向かってコンクリートを投げ落とす。
謎の生物の頭が一瞬へこんだと思うと、謎の生物の頭は見る見るうちに潰され最終的には破裂した。
周りの壁や床、鐵昌のズボンなどに謎の生物の体液が飛び散る。
謎の生物の体は頭を潰されてから少しの時間は動いていたが、静かに動かなくなった。
鐵昌は無言で謎の生物の死骸を見てから、綺たちの元へ戻って行った。
「戻ってきたわよ~」
「本当だ! おかえり鐵昌さん! 」
「…」
寝起きの美香子が鐵昌を迎える。
寝ているときの光景がフラッシュバックして、鐵昌は思わずそっぽを向く。
美香子は何かあったのかなと首をかしげる。
ガラガラガッシャーン!!!!!
突然轟音が聞こえる。
驚いて綺は叫び声をあげ、美香子は小さく悲鳴を上げる。晃は声は挙げなかったが、驚いてその場に尻餅をついた。鐵昌は特にリアクションしていなかった。
「なな、なにぃ!? 今の音!? 」
晃の声が裏返っていて綺は思わず叫びながら笑ってしまった。
「…シャッターが開いたみたいな音だったな」
「私ちょっと見てくるわ~」
「暇だから俺も行く」
美香子と鐵昌がコンビニを出る。
綺は叫び声の反動で咳き込む。
「吃驚した。なんの音だったんだろ」
机の上に置いてあった水を手に取ると、晃が話しかけた。
「あの…蘇我見さん? 申し訳ないけどそこの水取ってくれないかい? 」
晃が手を伸ばしながら言う。
綺は自分で取ればいいじゃんと思ったが、ハッとした。
「もしかして晃…」
「お恥ずかしながら腰を抜かしてしまって…」
綺と晃はお互い苦笑いする。綺は机の上に置いてあった水を晃に渡した。
一方そのころ美香子と鐵昌は、音がしたと思われる場所に着いていた。
その場所というのが予想外すぎて、美香子と鐵昌はポカーンとしていた。
「…この駅にこんなのあったっけ」
「聞いたことないから無かったと思うけど~…」
何かの施設のようだ。中央には押し引きのドアがあった。
そこの場所には看板があった。
【人も人外も寄ってこい! 如月駅 道後大浴場】




