第二十話 発見
「エアガン? 」
晃は首を傾げた。
「うん。エアガンを撃った時の音みたいなのが聞こえた」
「といってもあの音めっちゃ小さいじゃん。エアガンってのはさすがにないでしょ」
「逆に気づかなかった? 周りが静かすぎたから結構はっきり聞こえたよ? 」
「もし本当にエアガンの音だったら~…」
綺は少し笑顔になった。
「私たち以外に生きている人がいる! 」
綺は少しわくわくしていた。
「だったらさ、今から暇だからまだ生きている人探しに行かない? 」
賛成! と綺は手を挙げた。
「あ、それと」と言うと晃はバットの近くに置いてあったパイプを綺と美香子に渡した。
トランシーバーを持っているときに見つけ、わきに挟んで持って帰ってきたらしい。
「そこらへんに落ちてた水道管のパイプだけど、少し重さあるから武器にはなるでしょ」
「おお! 晃ありがとう! 」
「後でキャンディ二つ頂戴ね」
綺と晃は生存者を探しに駅を探索していた。
美香子はいつも通り留守番している。
「あ~早くあのへんな奴ら(謎の生物)出てこないかな~」
「なんで? 」
「驚かされてばっかだったから鬱憤を晴らしたいんだよ」
そう言いながら綺はパイプをバットのように振っている。
「あ」
「どしたの? 」
晃は無言で綺の後ろを指さす。
綺は後ろを向いた。
綺のすぐ後ろに謎の生物がいた。
「あああああああああ!!!!! 」
声にならない悲鳴が上がった。
綺は助けを求めて晃の後ろに回った。
「あんなに胸張っててこのザマ? 」
晃は綺を少し煽った。
あっそうだ。もらったんだ。と思い出し、パイプを構える。
最初はどうやればいいのか少し戸惑ったが意を決した。
「ええーい! なるようになれ!お命頂戴!! 」
綺は力任せにパイプを振った。
そのパイプは謎の生物の脇腹にクリーンヒットした。
「お…おお! 」
綺は一人で感心していた。
「大丈夫じゃん。これなら例え四面楚歌状態だとしても切り抜けられるね」
「え…? …そ、そうだね」
綺の頭に ? のマークが見えたような気がし、晃は綺にクイズを出した。
「突然ですがクイズタイムです! 」
「本当に突然だね」
「ズバリ、『四面楚歌』の意味とは? 」
一瞬場が静かになった。
「えーっと…あれでしょ? あの…四つのお面の歌…」
「何言ってんのあなた? 」
それから数十分歩き続けた。
生存者は一向に見つからなかった。
「晃~全然見つかんないしそろそろ戻ろうよ~」
「そうだね。さすがにずっと歩き続けるのは辛いしね」
「如月駅って結構広いんだね」
「そうだね。全然意識してなかったけど結構お店あるんだ」
帰ろうとしたその時だった。
「「 ! 」」
二人が同時に気が付いた。
謎の生物ではない。
生きている人間がいることに。
その人は少し離れたところにいて、ポケットに手を入れながら駅の奥へと歩いている。
背は少し高く、後ろ髪を赤いゴムで結んでいる。長ズボンで長袖。全体的に服装は暗い緑のような色合いだ。
綺と晃は小走りになりその人を呼び止めた。
「すいませーん! 」
晃が声を出した。
晃の声に気が付き、その人は足を止め綺たちの方を振り向く。
太めの眉に赤黒い瞳。綺はその人が男ということに気づいた。
綺たちがその人に寄っている途中、何かに気づいた男はいきなりショルダーバッグを漁り、何かを取り出し、こちらに向けてきた。
取り出したのはエアガンだった。
「え!? 」
綺と晃はそれに気づき、我々は謎の生物ではないと必死に語りかけていた。
男は引き金を引いた。




