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地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第弐章・出会いに出会う
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第十六話 探検 其の壱

「そうだ、探検しよう!」


 綺がいきなり言い出す。


「どこかの番組のキャッチフレーズみたいなこと言い出していきなりどうしたの?」

「いやーね、こんなこと言うのもなんだけど暇なんだよ」

「確かに携帯とか使えないし暇よね~」


 ちょっとやりたいことがあるんだよと言い、綺は話し出す。


・駅内放送で生存者を集められるか

・線路をたどって次の駅に行けば脱出できるのでは


 ということだ。

 確かに駅の出入り口が封じられていても、線路をたどればここから抜け出せるのではと思った。

 晃は感心した。


 晃は綺の探検の案に乗り、バットを持ち部屋を出ようとした。


「私もなんか武器欲しいなー」

「このパイプ使う?」

 晃は永介たちが使っていたパイプを差し出した。


「冗談よしてよ…。なんか呪われてそう…」


 綺は苦笑いした。


「私はここに残ってるわ~。気を付けてね~」

 美香子が手を振って見送る。



 改めて駅内を見渡してみるととても悲惨な状態だった。

 辺りには腹を食い破られた屍の山。

 壁には血痕がべっとりとついていた。


 鼻をつく腐敗臭に、思わず鼻をつまんでしまう。


 壁に貼ってある駅内の地図から、駅内放送の機材があるであろう場所を探し、晃と綺は向かった。


「あだぁっ!」


 綺は足元にあった本に気が付かず、滑って尻餅をついてしまった。

「大丈夫? めっちゃ凄い音なったけど」


 綺は立ち上がり大丈夫と言うと綺が踏んで滑った本の題名を見た。


 【すぐ出来る!友達の作り方講座!第二巻】


 綺は笑いそうになったのを変にこらえて、変な表情になった。


「第二巻ってことはシリーズ化してんだ…」

「どうでもいいわ」

「書いてる人陽キャ説」

「ちょっと中見てみようよ」


 好奇心で本を手に取り、ページをめくる。


『友達を作るのに一番手っ取り早いのは相手を知ること、会話だ! 相手の反応をうかがって自分から話しかけていってみよう! あ、でもこの本読んでる時点で君友達いない陰キャラでしたねwwww人と話すのが苦手系人種でしょ! ご愁傷さまでーぇすwwwww! 』


 綺は無言で本を元あったところに戻した。そして


「黙れ陽キャがぁぁぁぁぁぁ! こっちが陰キャって決めつけんなぁぁぁぁぁ!!! 」

 本を何度も踏みつけた。


「女子って怖ぇぇ…」

「自称陽キャが陰キャ語んなよぉ~…。私だっていろんな人と会話してみたいのにぃ~…」


 今にも泣きだしそうな顔になる綺。

 そんなに深刻なのかと察し、綺を傷つけないように晃はしばらく黙った。



「これじゃない? 」

 マイクのようなものがかかっているのが見え、綺は近づいた。

 近くにはボリューム設定やオンオフのスイッチが付いている。

「早速やってみようよ」

「えー、壊さないでよ? 」

「多分大丈夫でしょ~」


 綺はマイクを持ってオンオフスイッチを押した。


{あーあー。マイクテストーマイクテストー}


「…全然聞こえないよ? 」

「あれ? おかしいな…あっ」


 放送機材の裏側を見ると、放送機材と繋がっているはずの配線が全て切れていた。


「…オワタやん」

 綺は覚った。

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