第十五話 面白い話?
微かな呻き声が聞こえる部屋の中、咀嚼音がこだまする。
「お、美味しいぃぃ!」
三人はそれぞれコンビニに置いてあったものを食していた。
綺はポテトチップス、晃は鮭おにぎり、美香子はコールスローサラダといった感じだ。
三人はそれぞれのものを食べ終わり、ご馳走様でしたと言う。
そこからの時間は、暇だった。
「暇だよー。晃ーなんか面白い話してよー」
寝っ転がる綺が晃に言う。
「面白い話ねぇ…綺はなんかないのー?」
晃は話すのが面倒くさくなり、綺に回した。
「うーん…じゃあこの前本当にあった話でもしようかな」
綺は起き上がり、喋りだした。
「前私は留守番してて、お風呂に入ろうと思ったの。下着を用意して脱衣所に向かおうとしたら寝巻が無いことに気が付いたの。だから私は脱衣所に下着を置いて寝巻を取りに行ったんだ」
「ここまでは普通の話だね」
「んで寝巻を持ってきて脱衣所に戻ってきたの。そうしたら…」
「そうしたら? 」
「パンツが消えて下着が二枚に増えてた」
晃は一瞬理解出来なかった。
「どゆこと? 」
「そのまんまの意味だって」
「親が勝手に変えたとか?」
「最初に言ったでしょ?留守番中だって」
それを聞いた瞬間晃は意味の分からない恐怖感に襲われた。
「だからまた下着をとりに行かなきゃいけなくて面倒くさかったよ~」
「怖…」
「まだ続きがあって、お風呂から上がって着替えて脱衣所を出るために扉を開けたんだよ」
「また何かあったの? 」
「床に消えてはずのパンツが落ちてた」
「…本当に留守番中? 」
「何度も言わせないでよ。留守番中だって。私とペット以外には人っ子一人いなかったよ」
「ペットいるってことは、そのペットの仕業なんじゃないの? 」
「熱帯魚がどうやってパンツをイリュージョンさせんのさ」
パンツをイリュージョン。妙にじわる。
「で、結局原因なんだったの?」
「ん? 不明だけど? 」
晃の顔が少し青くなった。
「面白い話か? どっちかっていうと怖くね?」
「確かにね。怖いの苦手なの? 」
「ちょっとね…」
「仮にこれが幽霊の仕業だったら相当な変態よ?」
部屋が笑いに包まれた。
こんな生活が続けばいいなぁと思った晃だった。