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地下鉄防衛戦  作者: 睦月
第壱章・この先君と
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第十二話 決行

 美香子が帰ってきた。

「あら~、いつの間にお帰りになって~? 」

「ついさっきです」


 三人に対し美香子が話しかける。



「………そういえばさっき私たちの作戦を話してた時、サインを出したらシャッターを閉めてくれなんて事言ってたけど、サインってなに? 」


「そういえば言ってなかったね。うーんどうしよう………。あんまり複雑すぎるのもあれだし、僕がバットを落とす………ってのがサインでどう? 」


「えーそれじゃあ晃が誤って落とした時とかどうすんの? 」


「たしかに………まぁそうならないようにバットは抱きしめておくよ」


「なんだそりゃ」


 三人が話している間、綺と晃は三人に気が付かれないように小声で話していた。


「ん? なんか言った? 」

「普通に話してただけですよ」


 あの作戦を晃に話していらい、永介たちは晃が何かを言うたびに耳を傾けてくるようになった。


「………そろそろやるか………」


 永介が丈弥と怜に話している。

 するといきなり永介がこっちを振り向いた。

「晃、ちょっと美香子さんを呼んできてくれないか? 」


 身代わりに使うのは美香子さん――。こっちの作戦通りだ。

 永介の近くに行き、晃が「作戦決行するんですか? 」と小声で言うと、永介は小さく頷いた。


「綺、美香子さん。作戦決行だ」


 晃が二人に言う。

 美香子が三人の所へ行く。


「これからまた食料を調達しに行くんですが、栄養のある食べ物などを教えてほしいんです」


「あらら~? 食料はコンビニにもあるし、私が行かなくても食材の名前とか言えば分かるんじゃないのかしら~? 」

「本当に教えてほしいんです。コンビニの食料もいつかは底を尽きるし、名前だけを言われてもわからないかもしれませんし………」


「身の危険を気にしてるなら大丈夫です! 俺たちが体張って守ります!! 」


 偽善者が。晃はそんなことを思いながら会話を聞いていた。

 美香子を外へ誘い出す理由が無理やりすぎて、綺は少し笑いそうなのをこらえていた。


「………なら安心ね~。じゃあ食料調達行きましょ~」


「ありがとうございます」

 永介が少し頭を下げる。


「あの、僕も行っていいですか? 」


 晃が申し出た。

「なんだいきなり? まぁついてきても構わねぇけど、喰われても知らないぞ? 」


「え、ちょっと待ってよ。てことは私留守番? 」

「そういうことになるな」

「えーっ! あの謎の生物とか入ってきたらどうするの!? 」

「どうにかしろ」


 ぶっきらぼうな怜の態度に嫌気がさす。

 綺は「………分かった」といい、永介たちが出ていくのを見送った。



 深呼吸を何度も繰り返す。

 靴ひもを結びなおし、部屋を飛び出した。


 綺の使命は謎の生物を集めること。


 普段運動していない綺にとっては苦痛であったが、こんな状況になったからには冗談抜きで死ぬ気で頑張ろうと決意した。


 そして走り出した。


 永介たちに見つからないルートを一瞬で見極め、なるべく謎の生物に気づかれやすくするように足音を大きくして走ったり、少し声を出したりもした。


 綺を追ってくる謎の生物の数は手足の指の本数以上いるであろう。


 綺の息が少し切れてきた。そんな時、正面に【立ち食い蕎麦 如月店】の看板がみえた。


 綺は店に入るなり普段は店員しか入れないレジの所に入った。


 腰ぐらいの高さまでしかない低い仕切り戸にしっかりと落ち着いて鍵をかける。

 レジのところの壁には従業員部屋に通じる扉があった


 そんなのを確認していると、話し声が聞こえた。

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