■■■■■■の手記2
やはりこの町に寄ると滅龍十二使徒に出会うのだろう。これは最早必定。避ける事の出来ない運命であり、彼らの旅立ちの登龍門なのだろう。
ただ、あの滅龍十二使徒、ノイン・キリシュ・ハーマインは話せばわかる部類の人間だ。少し本気で戦う事にはなるけれど、対応を間違えなければまず殺される事は無い。殺されるときは彼の逆鱗に触れるか、人間を傷つける様な行動をするかだ。その点を踏まえれば、今回は少し危うかった。
私としてもナホの暴走は予想外だったし、また、ナホの咆哮をアルクが止められた事も驚きだ。それも、私の知らない技で……。このアルクには期待が出来るかもしれない。
今後の道行に期待しよう。
それにしても、ナホの覚醒が思ったよりも早い。本来であればこの時点で此処までの覚醒をする事は無かった。何か要因が? それとも、特定の条件下でしか覚醒が出来ない?
もしかしたら彼女の覚醒に伴ってアルクもまた強くなっていっているのかもしれないけれど、それも憶測の域を出ていない。おいおい調べていくとしよう。
総括すれば、今回は不測の事態が多かったように思う。
ナホの早すぎる覚醒、アルクの成長速度、それに加えて龍の大群に上位龍アハシュとギバラの介入。更にはアストラルまでもが姿を現した。ままある事とは言え、そうある事でもない。そも、この時点でアストラルが姿を現した事は一度だってありはしない。
破滅への兆しか、あるいは開闢の兆しか……。私にも分からない事が増えてきた。まだたったの十日ほどの話だというのに、少しずれるだけでこうも違うのか。
期待しよう。私は今回に期待する。あぁ、早く会いたい。その姿をこの眼にしかと焼きつけたい。そして、あの日の続きを――。




