2.バイオハザード?
「いろいろ疑問もありますが。助けて頂いたみたいなので。とりあえずお礼を」そう言って頭を下げると。「いや、原因は私にもありますので」と、山田さん。「私がこちらに来る際に、服か荷物に向こうの植物の種が付着していたみたいなんです」なるほど、検疫を抜けてくる外来植物みたいなものか。というか、マンドラゴラって実在の植物だったのか。いや、我々の世界とか言ってた気もするから。もしかして、山田さんは異世界人?
「とりあえず出ましょう」と促されるままに部屋を出て振り向くと。空中にトンネルというか土管の入り口みたいな穴が浮いていた。
「これはマイルームというアイテムボックスの亜種みたいなものです。なので、次はこれをイメージして。マイルームと唱えてください」
「マイルーム」と言うと。空中に穴が出現した。入ってみると、さっきより小さい。まさにカプセルホテルだった。「魔力量と。慣れもありますので。最初はこんな物かと」
「すでにお気づきでしょうが。私はこことは別の世界から来ました」。「都会から来たというのも、文筆業というのも本当です」。「わかりやすく言うと。向こう世界のラノベ作家みたいなもので。異世界物を得意としているのです」。「今回はスランプ対策と取材を兼ねて、こちらに来ていたのですが」。「いや~。検疫には気をつけていたつもりだったのですが」と、いろいろ突っ込みたいセリフが続いた。
「あの~、それで。なぜ私に魔法のことを?」
「魔力が身につく可能性があったので。無意識に発動されて事故になっても困りますので」。なるほど。
「というわけで。アフターケアを兼ねて。魔力操作の初歩的な技術と。簡単な魔法をお教えしたいと思います」。ありがたい。なんと親切な異世界人、"いいネタができた"、と言うつぶやきが聞こえた気もするけど。ま、いいか。
いまのところ、ここは日本の架空の県。ということで。脳内に浮かんでるイメージは北海道と群馬を合わせた感じ。