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行程10 MMRとか昔けっこう好きだった

 全身青タイツに身を固めた酔っ払いが、10階建てのビルの最上階にある室内プールの窓に外から張り付いて中を覗き絶叫している。状況としてはそんな感じ。うん。そんな感じ。遠目に見てもわかるくらいに顔をガラスに密着させている。下から見上げた源内は、この絵ヅラどっかで見たことあるぞとしばらく考えポツリと一言。


「ああ、あれだ!トランペットを見つめる少年ってやつだ。」


 それを受けてハッシュが答える。


「見つめてるのはオナペットなんだがなぁ。」


 とまぁそんなやり取りの後、ハッシュがカバンからもそもそと、一つのタブレットを取り出した。それを横から覗き込む源内。


「お、例のやつですか。さぁてこれが上手く動くか?」


 ハッシュが二三箇所タップしてタブレットの画面がどこかの映像とつながった。映し出された画面には、ガラス越しの室内プールの光景であった。これ、まさおに被せたヘルメットの額のところに小型カメラを仕込ませて、その映像が飛んでくるようになっている。本日のハッシュの発明、第二弾。


「おお、すげぇ。ちゃんと映る。お、だれかプールに入ってきた。うし、もう少しズーム、ズーム。これは例の女優だね。バスローブ羽織ってる子。」


 そう源内が言うや否や、画面が突如として上下前後に激しくブレ始めた。


「なんだ、なんだ?事故か!故障か?」


 慌てる源内。


「アヒョー!オヒョー!」


 さらにスピーカーから得体のしれない不気味なケダモノの鳴き声のような音が流れ出した。


「うぉう、一体どうなってんの?」


 慌てる源内とは対照的に沈黙するハッシュはしばらく考え、


「いや単にまさおがじっとしてないだけだろ。」


 と言って上空を見上げ、10階の壁を指さした。


 見ると盛りのついた猿の威嚇と、九官鳥の絶叫を足して二で割ったような声を上げて、腰を激しく前後にカクカク振っている、全身青タイツがそこにいた。


「コラー、まさお動くんじゃねぇ!撮ってる絵がブレるだろ!つか、見つかっちまうから、その変な腰振りヤメロ!」


「はぁはぁ、ショコラー!こっち見てぇ!」


 当然聞く耳なんて無いわけで。


「困ったね。こりゃゼロが逆効果だ。」


 ハッシュが言う。


「あー、せっかく稼げそうなネタだったのに。」


 頭を抱える源内。そのタイミングでまさおとプールの女優の目が合ったらしい。


「あ!こっち見てくれた!ショコちゃん!ショコちゃん!!」


 キャッキャと騒ぐまさお。


 と、その時である。


「ん?ハッシュ!あれなんだ?」


 そこから1Kmほど離れたところだろうか。地上から約40メートルくらいの高さで、空飛ぶ巨大な何かに源内が気付いた。暫くするとそれがこちらのビルに向かって飛んでくるのである。


「おいなんかこっち来るぞ!ん!形が!あれ?うそぉ!」


 その飛行物体は近づいてくると、このビルの真横。壁に張り付いたまさおの後ろにピタリと、まるでヘリコプターのホバリングのように空中で止まった。その見た目は下から見るときれいな丸、横から見るとかなり平べったい楕円という形をしており、色は上半分が青く塗られ下半分がクリーム色という配色である。


 このなんとも言えないベタな未確認飛行物体を見上げた源内が呟いた。


 「やっぱ・・・、これからの時代はUFOだ!」


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