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ひと狩りしようぜ!

滑り込みで本日は3話更新。

広場に近づき茂みの陰からのぞくと、一羽のウサギが頭から生えた角で地面を掘り返していた。


ホーンラビット。名前のまんま頭に角が生えたウサギだ。今やっているように角で地面を掘り返し、草という草を文字通り根こそぎ食べてしまう。村の住人からも「根喰らい」と呼ばれて忌み嫌われ、優先駆除対象に指定されている魔物だ。

意外と凶暴で頭の角で襲いかかられて酷いケガをする村人も多い。


矢筒から通常の矢を抜き、弓に番える。

四男に目をやるとこちらに頷いた。どうやら最初の獲物は譲ってくれるらしい。


狙いを定めてゆっくりと弓を引き絞る。前世と違って少し引いただけで手が震えるということもない。

限界まで引き絞ったところで矢を放つ。


ビュオッ!という音を立てて矢はまっすぐに走り。土いじりに夢中だったホーンラビットの後ろ脚の付け根に突き立った。


よし!ちゃんと当たった。やはりこの体は前世より格段に力があるらしい。


ウサギは突然の襲撃と激痛に恐れをなしたのかキュウキュウと鳴き声を上げながら不自由な足を引きずってこちらとは反対の茂みに逃げ込もうとする。


茂みから飛び出し、ホーンラビットの首根っこをつかんで抑え込む。角にさえ気を付ければそれほど脅威度の高い魔物ではない。


逃げようと必死にもがくウサギの首を両手で掴んで持ち上げる。


「ごめん」


小さく詫びてウサギの首に添えた両手に力を籠める。

ゴキリという手ごたえとともに暴れていたウサギの手足から力が抜けてぐったりとしていく。


一連の成り行きを見守っていた四男が茂みから出てくる。


「まぁ、ホーンラビットなら初めての獲物としちゃ上々じゃないか? 九人で分けるにはちょっと物足りないけど、なっっと!!」


四男はそう言いながら流れるような手つきで、矢筒から二本の矢を引き抜き一瞬で放つ。茂みに分け入って少しすると両手に中型の野鳥を抱えて戻ってきた。


「せっかくのお祝いに好物の一つもないんじゃ味気ないだろ?」


そういって掲げてみせるのはロッホ鳥だ。

警戒心が強く森の中だとうまく姿を隠すため捕まえるのが難しい野鳥だ。

ジューシーなもも肉は特に美味で、たまにしか食卓に上がらないごちそうだ。

この世界のルインの大好物である。ヤバいよだれが出てきた。


どうやら自分がウサギと格闘しているときに飛んでいるのが目に入ったらしい。

「未来の北部辺境一の弓取り(笑)」は伊達ではないようだ。


「ここで血抜きだけすませてさっさと帰ろう。今日はごちそうだぜ!」


笑顔でそう言って両手に持ったうちの一羽を渡してくる。

ヤバい惚れそうだ……。どうやら自分もだいぶチョロいらしい。







血を捨てた穴を埋め戻し、大地に感謝の祈りをささげる。

猟師のダノン氏から教わった作法だ。獲物は森からの贈り物であるから、必要以上はとらない。とったらしっかり感謝をささげ、骨まで残さず食べる。


「今日はたくさんの獲物をありがとうございました。」


二人で声をそろえて手を合わせる。


「ルイン。すぐに帰るぞ……」


肩に手を置かれて有無を言わさぬ形でしゃがみ込まされる。

先ほどまでと違い緊張した様子に何事かと四男の顔を見ると、険しい表情で空を指さした。


「ホルンターキーだ。まだこっちには気づいてない」


指で示す先を飛んでいたのはオレンジ色で四男の体ほどの大きさがある七面鳥だ。


ホルンターキー。特徴的な首の渦巻き状の器官でほかの魔物の鳴き声をまねて、獲物の近くに魔物を呼び寄せ、そのおこぼれをいただくという変わった狩り方をする鳥の魔物だ。

周りにいる魔物といっても何を呼び出すが見当もつかないため、見つけたら不用意に刺激しないように言われている。


「何か呼ばれたら厄介だ、気づかれないように木の下を通って帰るぞ。」


四男はホルンターキからーから視線を外さず警戒したまま、血抜きした獲物を担ぎ上げる。

どういうルートを通ればホルンターキーに気付かれず安全に帰れるかルートを思案しているらしい。


四男が獲物を担いで思案を巡らせる中、俺は全く別のことを考えていた。


アイツ……食えるんだよな。それもメチャクチャ美味い。

狩るのに危険が伴うから滅多に食卓に上がらない高級食材だ。

俺も今まで一回しか食べたことがない。


アレは確か2年前、長男の12歳の誕生日だ。

たまたまその日森に入っていた狩人のダノン氏と騎士団が合同で仕留めて。若様の誕生祝と献上してきたのだ。


ロッホ鳥もかなり美味いがアレは次元が違う。なにせ2年も前に食べたときの味を覚えているぐらいだ。

2年前は長男が主役だったから自分の分け前はちょっとだった。

しかし、()()()()()()()()()


「やっぱさっき護り石が光った時に帰っとくべきだったかぁ。ってお前何やってんだ!?」


思うが早いか俺は矢筒から「加速」を付与した矢を引き抜いて弓に番えありったけの魔力を込めた。


来たれ!華麗なる食卓!!


その思いにこたえるかのように矢じりがうっすらと青白く輝く。


愚痴っていた四男が慌てて止めに入るより早く弓を放つ。放たれた矢はゴウッ!という音と衝撃波を残して獲物に向けて突き進む。


途中で何かに気が付いたのかホルンターキーがこちらに顔を向けるが、そのまま矢に首を貫かれて絶命した。


「嘘だろぉ!?」


静かな森に四男の絶叫と獲物が木々の枝をなぎ倒しながら落下していく音が響き渡った。


ホルンターキーはモン〇ンで言ったら、クルペ〇コみたいな鳥です。

というかほぼまんまか、書きながらなんかそんな鳥どっかで聞いたなと思ってました。


しかし四男いいとこなし!

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