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四男はチョロい

本日2話目の投稿。

まだの方は前話からどうぞ。

お調子者の四男のことだ、うまくおだてれば乗ってくるはず。まずは牽制で軽いジャブを……。


「ちぇー、せっかくタス兄ちゃんのスゲーのがまたみられると思ったのになー。」


おっ! 今口元のあたりがピクッってしたな。そっぽを向いて難しい顔をしているが、にやけたくて仕方ないのだろう。効いてる効いてる。


「この間ラージタスクを仕留めた時みたいにびゅーん!!ってさ。ちょっとぐらいの魔物ならタス兄ちゃんの弓でイチコロだよね? ダノンさんも言ってたもん『若様は弓の才能がある。北辺一の弓取りになる日もちかい』って」


大げさな身振りをつけた実績を例に挙げてのヨイショに、師匠ともいえる人物から褒められた時のセリフをプラス。実際褒められたときは、その後1週間ぐらいはニヤニヤしていたのを知っている。


四男の顔を横目でちらっと確認すると口元はすでにゆるっゆるに緩み切っている。鼻の穴もひくひくしている、こうかはばつぐんだ!!


すでにニヤけるのをまったく隠しきれてない。もう一押しか?


「もうちょっとだけ! 何か獲物を見つけたら帰るし、危険なのがいたらすぐ逃げるから!!」


服の裾に縋り付いて上目遣いで真剣に訴えかける。


「はぁ~、ちょっとだけだぞ?俺が逃げろって言ったらとにかく村まで全力で逃げろよ?いいか!」


チョロすぎるぞ四男。俺は君が将来女の子にコロっと騙されそうで心配だ。

ニヤけた表情のまま獲物を探そうと張り切って前を行く四男の後を追いかける。


しばらく歩き回っていると四男は方向を確認するために高い木に登り始めた。

今のうちに準備を済ませてしまおう。


俺は肩に背負った弓を下すと、背中の矢筒から弓を一本抜いて腰を下ろす。

腰の道具袋から解体用のナイフを取り出し、刃を確認する。


削ってあとをつけるぐらいなら何とかなりそうだ。


「よしっ!」


小さく気合を入れて矢じりを確認する。

はっきり言って質が悪い。前世で付き合いがあったドワーフ鍛冶屋のガストンが作るものと比べたら雲泥の差だ。アイツは消耗品でも一切手を抜かないからな。


その点目の前にあるのは量産品で刺さればいいという考えが伝わってくる品だ。

鉄の品質も悪いし、刃もきれいに入っていない、磨きだって甘い。

でも付与をして使うには十分だ。逆に今の手持ちの工具を考えると低品質な方がありがたい。


矢じりの表面に大きく四角を彫り、四隅に簡単な文様を彫る。まずは基礎術式の「強化」だ。

次に四角の中に矢印と3本の線を刻み、矢印の下の部分から延びる渦を左右と中央に描く。

これで低位術式の「加速」の出来上がりだ。


作業が終わって道具をしまい、一息ついたところで木の上から四男が降ってきた。


「なんだ?疲れたのか? もう帰ってもいいんだぞ?」


そういって四男は弓で家のある方角を指し示す。


弓の実射もまだなんだ、このまま帰るなんてとんでもない!

ぶんぶんと首を振って否定する。


「向こうの広場の茂みが動いてるのが見えた。動きは小さかったから小物だろうけど獲物はいるみたいだ」


勢いよく立ち上がると、四男に教えてもらったポイントへ移動した。

タイトルは直前まで「初めての付与」でした。


でも序章で付与するシーンもあったし、ルインも生前なんべんもやった作業に感慨はないだろうなということでこのタイトルになりました。


だってチョロいですし?

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