▼88▲ ピロートークだけのベッドシーン
「あんたを主人思いのメイドと見込んで聞きたい事がある」
ベッドにもぐり込んだエイジン先生が、寝室の照明をナイトランプに切り替えたイングリッドに言う。
「何でしょうか」
パジャマ姿のイングリッドが、立ったまま問い返した。
「グレタ嬢が、結婚式を控えた幸せなカップルを襲撃するつもりでいる事について、正直どう思ってる?」
「私にグレタお嬢様のなさる事をどうこう言う資格はありません」
「グレタ嬢が返り討ちに遭う危険があるとしてもか?」
「出来れば危険は避けて欲しい所ですが、それがグレタお嬢様のご意志であるならば、仕方ありません」
「じゃあ、もしグレタ嬢が自分の意志で襲撃を諦めたら?」
「こちらとしては、その方が安心出来ます」
「そうか。積極的に止める気はないが、本心としては危険な襲撃はやめて欲しいって所なんだな」
「もちろん、グレタお嬢様のご意志が最優先である事に変わりはありませんが」
「ある意味、薄情だな」
「それは聞き捨てなりませんね、エイジン先生」
イングリッドはパジャマの上を脱いでアクション映画のヒーローのごとく無意味に上半身裸になると、エイジンの寝ているベッドにもぐり込む。
「待て、あんたの寝床はここじゃない。それと脱ぐな」
「この話題については、じっくりと話し合う必要がありそうなので」
「下の布団で寝てても話は出来るだろ。それと脱ぐな」
「差し向かいの方が話がし易いでしょう」
横向きに寝ているエイジンと向き合う形で横向きに寝るイングリッド。二人の間に出来た掛け布団の隙間から、イングリッドの形のよい大きな生乳が薄暗い中で丸見えになっている。
エイジンが布団を押し下げてその隙間を潰すも、イングリッドが下から押し上げてまた隙間を作り、
「隔たりを作らずに、差し向かいで話し合いましょう」
と、また生乳を見せ付けて来る。
「とりあえず、上を着ろ」
「エイジン先生こそ、上を脱いでください。出来れば下も」
「訳分からん」
「私は残念ながら、今は下を脱げませんが」
「もう、その話題はいいから」
「これこそ本音でぶつかり合う、裸のお付き合いというものです」
「それは主に浴場で、男同士、女同士でやるものだ。寝床の中で異性間でやったら、ただのベッドシーンだろ」
「私は残念ながら、時期が時期なのでベッドシーンに移行は出来ません」
「もう、その話題はいいって言ったろ。で、何を話し合いたいんだよ」
諦めて話し合いに応じる覚悟を決めたエイジン先生だった。




