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古武術詐欺師に騙された悪役令嬢は今日も無意味な修行に励む  作者: 真宵 駆
▽おまけ4△

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556/556

▼556▲ 人に見せられないデータを収集する為に用意した2テラバイトのハードディスク

「外からのセキュリティーが万全でも、内に入り込んじまえば無力だな。貴重な個人情報が全部丸見えだぜ!」


 検体検査室のパソコンからリング家の病院の医療システムを閲覧しまくる、生けるトロイの木馬型ウイルスと化したエイジン先生。


「やめましょうよ。いくら捜査の権限を持っているとはいえ、ヴィヴィアンさんのプライバシーに関わる情報とかうっかり覗いてしまったら、下手すると吊るされかねませんよ」


 不安なあまり心臓のバクバクが激しくなるアラン君。


「ん、これの事か?」


 茶化すように、正にそのリング家当主ヴィヴィアン・リングの医療データをディスプレイに映し出して見せるエイジン先生。


 そこには既往歴、常用薬、身長、体重、年齢は言うに及ばず、視力、聴力、肺活量、血圧、血液検査等の各種数値、果てはレントゲン、CTスキャン、MRIで撮影した際どい部位の画像まで、あまり人に見られたくなさそうな個人情報が大量に溢れていた。


「ふむふむ、至って健康だな。やっぱりブランドン君の結婚を急かしてたのは、自分の余命が残り少ないからとかじゃなく、単にそういう性格らしい」


「死にたいんですか、エイジン先生!」


 思わず叫ぶアラン君。


「大丈夫、今この検査室には俺達しかいないし、黙ってりゃバレないって」


「本当に大丈夫ですか? 閲覧履歴とか残ったりしませんか?」


「個人のアカウントでログインしてないから、履歴が残ってても誰が閲覧したかまでは分からないぜ。何なら、全部ヘディ先生が閲覧した事にすりゃいい。ここに勤務してる医者が医療システムを操作してたって何も問題ないだろ?」


「それはそうかもしれませんが……」


「と言う訳で、2テラバイトのポータブルハードディスクを持って来た。今からこれにリング家に関わる人々の貴重な個人情報をじゃんじゃん落として行こうと思う」


「完全にスパイじゃないですか! そこまでやったら、もう言い逃れ出来ませんよ!」


「今の俺はスパイじゃなくて名探偵だぜ? 名探偵は事件を解決する為なら、時に大胆な行動に出るものさ! シャーロック・ホームズだって、結構犯罪スレスレな事やってたし」


 正にそのホームズのコスプレ姿でドヤるエイジン先生。


「毎回ホームズの無茶振りに付き合わされるワトソン博士が気の毒になって来ました」


 正にそのワトソン博士のコスプレ姿でボヤくアラン君。


「結構ノリノリで付き合ってるけどな。麗しき友情って奴だ!」


「友情をホームズに利用されてませんか、ワトソン博士。で、これは事件解決の為にどうしても必要な事だと?」


「さあ、それはまだ分からん。が、情報は多いに越した事はない。捜査の基本だ」


 偉そうな事をのたまいつつハードディスクをパソコンに接続し、


「アラン君、廊下で待ってるブランドン君と三バカに、誰かこっちに来たら検査室のドアを開けて、中にいる俺達に、『まだ時間がかかりますか?』、と声を掛ける様に言ってくれ。俺はそれを合図にデータを落とす作業を中断して、いかにも顕微鏡で弾丸を観察してる風を装うから」


 しっかり見張りを立てる事も忘れないエイジン先生。


「親の足音が聞こえたらあわててゲームを隠して勉強してるフリをする子供ですか」


「スリルがあって面白いだろ?」


「今はスリルより心の平穏が欲しいです。切に」


 スリルで今にも心臓が張り裂けそうなアラン君。

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